DSC_0185apn【夜明け直後の市場。柔らかい朝陽の光で週刊誌を読む薬屋の女性。クスリは主に伝統的な薬草を利用し、その他インドやタイ、バングラディシュからの輸入品が多いようだ】

一方、民主化勢力側は、国民民主連盟(NLD)の書記長であるアウンサンスーチー氏が2003年5月以降3度目の自宅軟禁に置かれたままで、政治活動は完全に抑え込まれている。
また、ビルマの政治改革を担ってきた実体である学生運動は現在、おもだった大学を首都郊外に移され、完全に動きを封じられている。
あるいは、1988年の民主化運動を担った元学生活動家たち、たとえばミンコーナイン氏は2004年に16年ぶりに刑務所から解放されたが、2006年9月、再び軍政に拘束されてしまった。

国際的な圧力を受け続けているSPDCは最近、1993年に始まった憲法制定会議を活発化させ、新憲法制定と総選挙に向けて動いている。
巷で噂されているのは、タンシュエ上級議長は数年内に軍服を脱いで軍籍から民間人となり、新大統領としてビルマ国民を抑えるつもりだ、と。
DSCF0248apn【軍の支配が強いビルマでは比較的治安が安定しているといわれている。だが、この数年、経済格差が広がるにつれ、一般犯罪が増加しているといわれる。この1ヶ月、町を歩いていて(観光客の行かない所)、3度も手錠姿のビルマ人を見かけた】

国連総会は2006年12月、恒例行事のようにビルマに対して非難決議を採択する。
ビルマ(ミャンマー)は昨年、初めて国連安全保障理事会の公式議題として取り上げられることになった。
だが、中国とロシアの反対があるので、事実上強制力のある案を通すことが出来ないであろうと目されている。

また、ビルマが自らもメンバーである東南アジア諸国連合(ASEAN=アセアン)は、ビルマに対して改革に向けての有効な働きかけは手詰まり状態である。
ビルマの抱える大きなもう一つの課題は、民族問題。タイ国境にその本部を置くカレン民族同盟(KNU)は、反軍事政権国家の急先鋒の民族集団で、いまだに60年近く武装抵抗闘争を続けている。

だが、長年にわたる内戦でカレン人自身に厭戦気分が漂い、ビルマ国軍によるカレン人への攻撃で難民流失も増え続け、さらに昨年12月末、カリスマ的な指導者であったボーミャ議長が死去し、年ごとに弱体化していた組織の将来に暗雲が漂い始めている。
~終わり~

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