ビルマ潜入紀行 ~東南アジア最後の軍事独裁国家からの報告
 4つの新年祭(上)
※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
 
【日本の支援団体(BRCJ)からの資金援助で服を新調し、「カレン新年」の前夜、伝統的なカレン舞踏(ドーンダンス)を披露する女性たち】
 「日本の人ですか」
 渡河するために乗り込んだボートに腰を下ろすと、目の前に座っていたビルマ人が突然、口を開いた。
 いきなり日本語で話しかけられ、びっくり。
彼の手には、葬儀用の大きな花輪がしっかりと握られている。
 しかし、この肌の色の濃いビルマ人は、いったいどこで日本語を学んだのだろうか。
 不思議な顔をしている私に向かって、彼は続けた。
「昔、イマイさんから日本語を教えてもらったんです」
 「えっ、じゃあ、イマイさんの友人で、西山さんのことも知ってるんですか」
 「もちろんです。彼も私の先生でした。西山さんからは日本語のレッスンや軍の訓練も受けました」
 
【KNLA軍第7旅団本部で行われた「カレン新年」の式典。濃い朝靄のなか、勢揃いしたカレン軍兵士を閲兵するティンマウン将軍】
 タイ国境を中心に、ビルマ軍事政権に対して武装抵抗を続けるカレン民族同盟(KNU)の闘いは58年目に突入した。
ビルマ国軍に対してゲリラ戦術をとるカレンの抵抗闘争に共鳴し、義勇兵として銃を持った日本人もいた。
 名前の出たこの2人は、10年ほど前にカレン民族解放軍(KNLA)義勇兵として参加し、命を落とした日本人である。
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