今回も支配人さんの(政治経済的)能力に合わせて、穏便に処理しようというわけです。別に好き好んでやってるわけではないですよ。それでも、あなたがそんなにけしからんと思われるんなら......。
支配人:いやいや、私はけしからんなんて思ってませんよ。指導員さんは「方針」を貫徹するのが仕事だから。指導員さんのお仕事には、何も言うことはありませんよ。

検閲員:われわれが(支配人の家に対する)意見資料(調書)の整理をお手伝いすれば(もみ消して穏便に済みますが)......。そうせずに規則どおりに意見書を一枚持っていって、それが法務委員会に上がってしまえば、もっとややこしいことになるじゃないですか。

ぶっちゃけた話、われわれは(原則どおりなら)家に入って調べたり、賄賂とかを受け取るなんてこともできないことになってるし......。われわれが個人の家に来ることなんて、ほとんどないんですよ。正直言って、われわれが個人の住宅に来るのはちょっとまずいんで(規定違反なので)、噂になってもいかんので、関係ない他の者を行かせたりしてるんですよ。それが(今回、特別に)来たわけでね。

このままだと家の問題でまずいことになりそうだったから、こうして、穏便に済むようにしようということなんでね......。
支配人:私は指導員さんのなさる仕事に文句なんてありませんよ......。

でも、正直言ってね、みんなが安心して暮らしていければいいけど、今みたいに国家が(住宅不足の問題を)全く解決してくれないなら、自分たちでお互い助け合いながら、商売目的ではなく、持てる者、持たざる者、お互いに融通し合ってやってくしかないじゃないですか。

なのに、こうやって(原則にばかりこだわって)罰金を搾り取ろうってことなら、指導員さん、本当のところ、私はちょっと腹が立ちますね。自分の金を出して、国家が解決してくれない(住宅不足の問題を)自分で解決しただけなのに、それに対してさらに罰金まで払わされて、それからまた法務委員会まで引っぱって行かれて......。

ああ、私が何をしたって言うんです?違います? 悔しいですよ。(支配人は無理に笑顔を作っている)

検閲員:ええ、もちろん悔しいっていうのは少しは分かりますよ。国家住宅を割り当てるにしたって、交換するにしたって、全部法律に沿ってやってたら......。

支配人:そうでしょう? 規定通りにやってたら、にっちもさっちもいかないんだから。国家では、都市経営部なんかでは解決できないんだから。規定のほうが現実に合わないのだから、住民生活がこんなことになるんだ......。

検閲員:実は、われわれが今どうして、こうしてお邪魔して話をつけに来たのかっていうと......。二〇〇六年九月二〇日に(将軍様の)「方針」が出されましたね。その「方針」を貫徹するのに、一部の党員たちが強引なまずいやり方をするもんだから、住民たちから意見が出てきて......。それにこのごろ(住民たちの不満や一部の行動によって、世の中の)雰囲気がおかしくなっているでしょう?

支配人:九月何日だって?

検閲員:九月二〇日ですよ。この地区の人民班長(行政体系における末端党員)にも私がこの家へ来ることは言ってないんですよ。直に通報してきた家々を回って話を聞いて、ここに来ました。

支配人:......。
(つづく)

取材 リ・ジュン
二〇〇六年一一月
(整理 チェ・ジニ)
注1 取締り部隊は現場を押さえると罰金を徴収しようとする。罰金を払ったということは罪を認めたことになるため、後日法務委員会に出頭して司法処理に正式に回される。

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