4月13日に東京・渋谷で開かれた、ミャンマーの最大野党・国民民主連盟(NLD)党首のアウンサンスーチー氏と在日ミャンマー人との対話集会では、スーチー氏の冒頭演説の後、質疑応答が行われました。その模様を再現、全文を連載します。今回はその3回目。
取材・訳 赤津陽治

事前にメモのかたちで集められた在日ミャンマー人の質問を読み上げるスーチー氏(2013年4月13日 東京・渋谷)

事前にメモのかたちで集められた在日ミャンマー人の質問を読み上げるスーチー氏(2013年4月13日 東京・渋谷)

【事前にメモのかたちで集められた質問は、「政治」「経済」「教育」「その他」に分類され、スーチー氏がメモを各分野から無作為に拾い上げ、読みあげて答える形式で進んだ】

質問:
私はIT分野で修士号を取得し、ネットワーク・エンジニアとして、テレコミュニケーションの会社で働いています。来日して私が知ったのは、インターナショナルな会社で現在、ミャンマーからのエンジニアは能力的に大きな違いはなく、なかにはミャンマーからのエンジニアよりも優秀でない人もいるのに、給料は大きく異なることです。私の考えでは、ミャンマーのエンジニアには国際経験だけが不足しています。そうした足りない点を早急に改善するためには、どうすればいいと思いますか?

<スーチー氏が上記の質問を読み上げる際、実際は以下のようにコメントしました。上記は、それを質問形式にまとめたものです>

スーチー氏
これは教育についての質問ですね。
『私はIT分野の修士号を取り、ネットワーク・エンジニアとして、テレコミュニケーションの会社のひとつで働いています。日本に来て、私がわかったのは、インターナショナルな会社で...』

ビルマ人ならビルマ語で書いてください。【国際的企業】と書いたらどうでしょうか。
『現在、【ミャンマー】のエンジニアよりも...』

【ミャンマー】という文字さえもビルマ語で書いていないですね。私からひとつ言っておきますね。外国にいるならば、自分の言語を忘れないように少しは努力してください。忘れてはなりません。私がビルマ語に言い換えないといけないですね。通訳しないといけなくなってしまいます。

『ミャンマーからのエンジニアは...』、【スキル】というのは能力ですね。『能力的に大きな違いはなく、なかにはミャンマーからのエンジニアよりも優秀でない人もいます。しかし...』、サラリーというのは、ビルマ語で何といいますか?

在日ビルマ人聴衆
ラーザ(=給料)

スーチー氏
簡単ですよね。
『しかし、給料は大きく異なります。私の考えでは、ミャンマーのエンジニアは【国際経験】』ここは、私が訳してあげました。『国際経験だけが不足していると思います。そうした欠けている点を早急に改善するためには、どうすればいいと思いますか?』

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