ポルトガルの子孫といわれるバインジー人(ビンジー人)のネィトラウィンさんは、民族衣装のロンジー(巻きスカート)を身につけていなければ、西洋人に見えてしまうほどだ。(チャンユー村で2014年4月撮影・宇田有三)

ポルトガルの子孫といわれるバインジー人(ビンジー人)のネィトラウィンさんは、民族衣装のロンジー(巻きスカート)を身につけていなければ、西洋人に見えてしまうほどだ。(チャンユー村で2014年4月撮影・宇田有三)

◆ポルトガル人の子孫たち

仏教の国ミャンマー(ビルマ)で、一年で最大の行事といえば、毎年4月半ばに行われる、新年に水で厄を払う「水かけ祭り」である。そして同じ時期、人口の約5%を占めるキリスト教徒たちは「復活祭」(イースター)を祝う。

この地は19世紀半ばから約100年間、英国の植民地だった。しかし、その昔、南部地域は一時期、ポルトガルの影響下にあった。

そのポルトガル人の子孫といわれる人たちがいまもこの国にいる。多くはカトリック教徒で、バインジー人(ビンジー人)と呼ばれ、中部ザガイン地域 (管区)の村に暮らす。長い時を経るなか、地元住民との交わりのなかで、バインジー人たちの暮らしは、食べ物や衣服、言語など、信仰する宗教以外は、ほと んど周辺社会と同化してしまった。

しかし、村に入ると、青や緑の眼をした村人たちをたくさんみかけ、ポルトガル人の痕跡がうかがえる。村でキリスト教の宣教活動をするアウグスティ ン・ティントゥン神父(54)によると、今年1月に、バインジー人の存在を知ったポルトガル人が村を訪ねてきたという。「遠く離れた場所と時間を経て、人 びとはつながっていると感じます」と話した。

バインジー人(ビンジー人)の多くはカトリック教徒。村人251家族が暮らすチャンユー村で4月20日の日曜日、アウグスティン・ティントゥン神父のもと、「復活祭(イースター)」が厳かにおこなわれた。(撮影;宇田有三)

バインジー人(ビンジー人)の多くはカトリック教徒。村人251家族が暮らすチャンユー村で4月20日の日曜日、アウグスティン・ティントゥン神父のもと、「復活祭(イースター)」が厳かにおこなわれた。(撮影;宇田有三)

イースターの日、村人たちは静かに教会に向かい、祈りをささげる。

青い眼の人びとが暮らす村。時間の流れが止まったかのような村で、この国の歴史の深さを改めて感じた。

【マンダレー 宇田有三】

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