◆「オール沖縄」、島ぐるみの新基地反対を訴える

翁長陣営が強調するのは、保守・革新の枠を超えた「オール沖縄」の重要性です。

その結集軸が、昨年2013年1月28日に県内全41市町村の首長・議会議長・県議会議長らが署名し、「オスプレイ配備の撤回、普天間基地の閉鎖・ 撤去と県内移設の断念」を沖縄の総意として政府に求めた「建白書」です。翁長氏は上京した要請団の先頭に立ち、「建白書」を安倍首相に手渡しました。

その後、自民党県連と仲井真知事が県内移設容認に転じ、現在、県内の29市町村長が仲井真氏支持に回っています。「オール沖縄」は崩れたと見えます。

しかし、「それは政府の分断工作の結果で、県民世論調査でも新基地反対が大多数を占めるように、『建白書』に示された『オール沖縄』の意思は崩れてはいません」と語るのは、元県議会議長・元自民党県連顧問の仲里利信さん(77)です。

仲里さんは自民党県連と仲井真知事の変節を批判して自民党を離党し、今年1月の名護市長選では稲嶺市長を応援しました。来る知事選でも翁長市長を後押しします。

「安倍政権は軍拡路線に走り、尖閣諸島をめぐって中国と対立を深め、沖縄で自衛隊増強も進めています。新基地ができれば自衛隊も使用し、米軍ととも に沖縄を永久的に軍事要塞化するでしょう。沖縄が戦争に巻き込まれ、かつての沖縄戦のように本土防衛の捨て石にされる危険も高まります。しかし、それでは 子や孫に申し訳が立ちません。だから今回の知事選は、沖縄の将来を決する重大な選挙なのです」

沖縄戦で幼い弟を失った仲里さんの言葉には、二度と戦争の犠牲を強いられてはならないという、保革の枠を超えた県民共通の思いが込められています。
~つづく~ (吉田敏浩)

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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