◇JR東海、1日750トン地下水くみ上げ計画
ところが、今年6月、JR東海は摂津市と協議もないままに、工業用水法上の井戸使用許可申請に向けた事前協議書を大阪府に提出。府から連絡を受け、摂津市はJR東海が再び基地内で井戸を掘削しようとしていることを知る。
JR東海の計画によると、車両基地内で井戸を2基掘削して1日750トンの地下水をくみ上げて、車両内のトイレ洗浄水などに使用するという。
摂津市がJR東海に再三、撤回を求める要請書を送ったところ、JR東海から「災害時の新幹線の安定的な遂行に必要な水を水道水と地下水の両方から調 達できるようにする目的で井戸を掘ることを計画している。震災時には1日も早く国民の足を復旧しなければならないという使命を担っている。そのために水は 必要不可欠」という回答が届いた。
協定違反ではないかという指摘に対しては、「茨木市域での掘削なので摂津市の行政上の管理区域を超えている。協定の適用を受けるものではない」と説明していた。
確かに、協定では「事業場で地下水のくみ上げを行わない」と定めているが、「事業場」の範囲は定義されていない。だが、摂津市側は「協定の前文に は、『事業者の事業場を操業するに関し』」とあり、「この協定は鳥飼基地の茨木市域を含めた敷地全体に適用される」と主張している。
さらに、「水脈は地下でつながっている。再び地盤沈下が発生したらどうするのか」と反発している。
JR東海労働組合新幹線関西地方本部は「JR東海が車両洗浄などのための水道代は月2000万円かかり、摂津市に払っているのはその3分の1の750万円」であり、社内では「リニア新幹線の開設に向け、経費削減が進められている」という。(つづく)
【矢野宏 新聞うずみ火】