バングラデシュ政府は、ロヒンギャは、ミャンマーに暮らしてきた少数派のムスリムで、軍政の迫害によりその一部がバングラデシュに避難したと説明。("The Daily Star",2012年8月14日)

バングラデシュ政府は、ロヒンギャは、ミャンマーに暮らしてきた少数派のムスリムで、軍政の迫害によりその一部がバングラデシュに避難したと説明。("The Daily Star",2012年8月14日)

Q. バングラデシュは、ロヒンギャ・ムスリムのことについてどのように考えているのですか?
A.
 その前に、現在のロヒンギャ・ムスリムについての様々な立場を整理しておきましょう。

(1) ミャンマー政府やラカイン人/ビルマ人によるロヒンギャ・ムスリムの説明
ミャンマー政府は一貫して、ロヒンギャ族という民族は存在してこず、彼らは英国の植民地時期にミャンマーに流入してきたベンガル移民。その後、不法にミャンマーに居着いた。だからバングラデシュに戻るべきだ、という立場をとる。

(2)バングラデシュ政府によるロヒンギャ・ムスリムへの対応
バングラデシュ政府は、ロヒンギャは、ミャンマーに暮らしてきた少数派のムスリムで、1982年の国籍法により、国籍を剥奪された無国籍たちである。軍政の迫害によりその一部がバングラデシュに避難してきたと説明。

(3) ロヒンギャ・ムスリム自身による説明
ロヒンギャたちは、自分たちは8世紀頃からミャンマーのアラカン地域に暮らしてきた土着の民族で、ラカイン州のミャウー仏教遺跡群はイスラーム王朝の遺跡であると主張。

(4)国際社会
(A)国連、NGO、国外ジャーナリストなどによるロヒンギャ・ムスリムへの理解
ロヒンギャはミャンマーで歴史的に暮らしてきた民族の一つで、軍政下で最も虐げられてきた民族だから、国民として保護すべき対象である。ロヒンギャ族、ロヒンギャ人と「民族」として見なしてきた。

(B)NGO、研究者やジャーナリストの理解
ロヒンギャは、ミャンマーに暮らすムスリムの中の一つ(ロヒンギャ・ムスリム)で、宗教的な少数者であり「民族」ではない。だが、実際にミャンマー国内で暮らしてきたのであり、国民として保護すべき対象である。

私は、基本的にこの(4)の(B)の立場です。(4)の(A)と(B)は、歴史や民族という解釈の違いで、「ロヒンギャ問題」を解決したいという思いは同じだと思っています。(つづく)

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宇田有三(うだ・ゆうぞう) フリーランス・フォトジャーナリスト
1963年神戸市生まれ。1992年中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。東南アジアや中米諸国を中心に、軍事政権下の人びとの暮らし・先住民族・ 世界の貧困などの取材を続ける。http://www.uzo.net
著書・写真集に 『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』
『Peoples in the Winds of Change ビルマ 変化に生きる人びと』など。

 

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