民家の屋根の上から墜落した米軍ヘリの残骸や、米兵の動きを撮影しようと待機する各社のカメラマン(10月沖縄県東村高江にて撮影・栗原佳子/新聞うずみ火)

◆地位協定の壁

事故の概略は次のようなものだ。11日午後5時35分、普天間基地所属のCH53Eが訓練飛行中に出火、緊急着陸した。機体は炎上大破、乗員7人は脱出、けがはなく、別のヘリに乗り移って立ち去った。

火災は午後8時17分に鎮圧。地元消防、米軍の消防が消火にあたった。CH53Eは米軍最大規模の輸送ヘリで定員はオスプレイのほぼ2倍の55人。事故原因は不明だが、地元紙は、事故機が6月にトラブルを起こし、久米島空港に緊急着陸したことを伝えていた。

西銘さんの妻、美恵子さん(63)に話を聞くことができた。庭の草取りをしていたとき、煙と臭いに気づいた。少し高いところに上がると、牧草地から黒煙がどんどん上がっている。炎も見えた。何度か爆発音もしたという。

家と墜落地点との距離は約200 メートル。ヘリなら数秒で到達する距離だ。家の手前にある豚舎では89歳の義父が作業中だった。
「もうちょっと操縦士の操縦桿がずれていたら豚舎や家に突っ込んだかもしれない。想像するともう、心臓がドキドキして止まらなくなりました」

現場となった牧草地には、過去にも4 度、米軍ヘリが不時着している。同型機やオスプレイが頭上を低空で飛び回るのは日常茶飯事。「落ちてくるんじゃないかといつも不安になります」。銃で狙われるのではないかと恐怖にかられることもあるという。

「沖縄のあちこちでヘリが墜落していますが、我が身に降りかって初めてリアルに感じました。もう、どこに落ちても不思議ではないとつくづく思います」

庭の脇の農道入口には規制線が張られ、警官が数人立ち番をしていた。沖縄県警は航空危険行為処罰法違反の疑いで捜査を検討しているが、民間地にもかかわらず、日米地位協定の壁が立ちはだかり現場にも近づけない。地主の西銘さん家族でも入れない。(続きを読む 2 >>) 【栗原佳子/新聞うずみ火】

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