朝中間の最大通商口である丹東-新義州の連絡橋。物流はほぼストップしている。2017年9月に中国側で石丸次郎撮影

◆資金不足で本当に輸入できるのか?

医薬品と医療用品の極度の不足は、遅くとも昨年秋には顕在化していたのだが、金正恩政権は中国からの輸入を認めず、医療崩壊状態になった今になってようやく重い腰を上げた。

協力者が4月上旬に会ったある地方の貿易商社員によれば、最近になって、中央から医薬品と医療用品を緊急に輸入するように指示があり、「各社が中国側の取引業者とファクスで連絡を取るのに余念がない状態」だという。

だが、鴨緑江、豆満江にある中国との通商口は依然として封鎖が続いているため、平安北道の新義州(シニジュ)を通じて輸入するように指示されている。新義州の通関業務は止まっておらず、防疫設備も整ったからだという。

政府機関が直接中国政府と医薬品購入を協議していることは十分に考えられるが、今回の貿易会社への指示は、それとは別途に、大量迅速に医薬品を国内供給させるための緊急措置だと見られる。

「しかし問題は輸入代金の支払いだ」と、調査した協力者は言う。1年以上に及ぶ中国国境の封鎖で業務の中断を余儀なくされた貿易会社は、どこも資金がない。そのため、「代金の半分を農産物(主に漢方薬材料)の輸出で相殺し、残りは後払いの条件で中国の業者と交渉を進めている」と協力者は述べつつ、不安も口にした。

「国家が輸入代金を負担するのではなく、各商社が資金調達しなければならない状況だ。それは価格に転嫁されるので、医薬品の高値は続くのではないか。そもそも後払いの条件で中国の業者が薬を売ってくれるだろうか?」

なお、中国税関当局が発表した今年1~2月の通関統計では、中国からの医薬品輸入はゼロだった。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。