吹き付けアスベストの状況。「荒れ」だけでなく「浮き」や「損傷」ないし「欠損」もみられる

◆専門家も「荒れ」など認定

9月13日に筆者も現場を確認し、写真を撮って改めて調べると吹き付け材の「表面の荒れ」だけでなく、「浮き」や「損傷」ないし「欠損」も確認できた。

たとえば、上の写真の一部を赤線で囲ったように左側はかなり広範囲で「荒れ」が確認できる。しかも中央の若干右上付近(赤く囲った部分)に試料採取したとみられる箇所があるが、その周りの吹き付け材は明らかにひさし裏から「浮き」上がっているのがわかる。また、採取箇所の左側には吹き付け材に2カ所の穴があり、その箇所が「損傷」または「欠損」しているのが明らかだ。下の写真でも同じく吹き付け材が割れて浮いているのがうかがえる。

市に吹き付けアスベストの状態を説明し、劣化状況はどのように判断したのかを聞くと、「分析屋さんに聞いて、そんな書きぶりにしました」(大浜公園事務所)という。だが、劣化度診断の委託をしたのかというと「してないですね」(同)と明かした。

別の角度から撮ったひさし裏の吹き付けアスベスト。赤線で囲った部分に吹き付け材の「浮き」が確認できる

となると試料採取・分析だけを委託した分析業者に対し、現場を見た際の印象を聞いたにすぎない。業務委託もしていない以上、吹き付け材全体を調べて責任のある回答をしろというのは無理がある。

一方で市民や筆者がちょっと写真を撮ってみただけでわかる程度の劣化状況に市が気づかないことも問題である。市側でも確認したというが、「ぼくらも素人なんで。正直難しいところがある」(同)と釈明する。

もっとも危険性の高い吹き付けアスベストの劣化状況について、試料採取時の感想を聞いただけで「安全」と発表されてはたまったものではない。市は「認識が甘かった」(同)と認めた。

その後市は「中立かつ公正な非営利」の活動を掲げる「建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)」に協力を要請。同協会の専門家が9月17日に現地を調査し、「荒れだけでなく、浮きも確認された」(同)という。

その結果、市は9月27日、約1カ月前の報道発表を訂正。当初発表時「全面に」飛散防止の措置を講じたとの記載を「必要箇所に」などと変更。吹き付け材の「表面の荒れ・損傷・欠損・浮きが認められず」との内容も「荒れなども一部で確認された」と修正した。虚偽発表を認め、訂正せざるを得なかったわけだ。

市は今後専門家の助言を得ながら慎重に現場対応を検討するとしている。

現場は東雲公園と隣接し、近くに遊具もある。筆者が訪れた際も小さな子どもが建物のすぐ下まで走って行ったりして遊んでいた。劣化した吹き付け材からアスベストが飛散し、子どもたちに吸わせるようなことがあってはならない。