大阪府堺市がアスベスト(石綿)の不適正工事を実施させた可能性があることが明らかになった。2016年6月に続いてまたも無届け作業が疑われる事態である。(井部正之)

アスベストを検出した軒天の吹き付け材(堺市提供)

◆JR堺市駅前で違法工事?

市はJR阪和線堺市駅前の東雲公園予定地内にある市有建築物の吹き付け材からアスベストの1つで発がん性のより高いアモサイト(茶石綿)を検出したと8月30日発表した。今後、改めて測定や飛散防止対策を実施するとしている。

問題は、8月11日に試料採取時した際、幅約20センチメートル、長さ約7メートルの建物北面のひさし裏にある吹き付けアスベストについて、「試料の採取時にスプレーにて全面に飛散防止対策処理を行っています」と発表していること。

分析のための試料を採取した後にその箇所と周りのごく直近に飛散を抑制する溶剤を吹きかける。しかし、堺市の発表は試料採取した箇所だけでなく「全面に」使用したというのである。

事実であれば、吹き付けアスベストを飛散抑制剤で固める「封じ込め工事」に該当し、作業の届け出や現場の隔離、外部に漏れないようにする負圧除じんなどが必要となる可能性がある。

大阪府事業所指導課は「もしうちの所管だった場合、基本的には封じ込めの作業になる。よかれと思ってやったのだと思うが……」として、大気汚染防止法(大防法)の届け出義務や作業基準に違反するとの解釈を示す。

環境省大気環境課も「(本当なら)封じ込め工事じゃないですか」と驚いていた。

解釈が同様であれば、労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)違反もあり得るはずだ。

8月31日に市大浜公園事務所に確認したところ、「試料を採取したところに(アスベストが)飛びやすくなるので(飛散抑制の)スプレーを吹いたと聞いてます」と説明する。

封じ込め作業に該当する可能性を指摘し、全面に施工したのか尋ねると、「ちょっと広めに吹いてもらった。きっちり全部ではない」と話す。

同事務所によれば、飛散抑制剤の散布箇所は新たに調べた北面ひさし裏の採取部分とその周辺で、何の対策もなしに試料採取することは避けたかったとして、「ちょっと広めに」スプレーするよう頼んだという。作業の届け出や現場の隔離をはじめとする対策はしていなかった。