◆虚偽発表を認識か

9月3日に改めて連絡があり、「全面に処理していると書く方が(採取が)3カ所ありますので広く固めている、安定させている形のほうがいいのかなとこちらで勝手に判断してしまった」と釈明した。筆者の指摘後、事業者からヒアリングし、採取後に飛散防止剤を吹きかけたのは「握りこぶし大」と回答を得たとしている。

もともと担当者が起案した発表資料には「全面に」飛散防止処理をしたとの記載はなく、8月27日に同事務所所長の指示で追加された。だが、所長は全面に施工することになっていないことを当初から知っており「虚偽発表」だったことを筆者の取材に認めた。

市内のアスベスト関連工事について監督・指導する権限を持つ市環境対策課は「詳しいことはまだ聞いてない。サンプリングのために吹きかけたとしたら問題はないと思う。きっちり聞き取りをして判断したい」と明かす。

業務委託は試料採取とアスベストの分析(1検体)で、約24万円(税抜き)。飛散抑制剤の散布費用が計上されているわけではないとの説明が事実であれば、適切に対応していると強調したいあまり虚偽発表を企てたのか。仮に実際に全面に散布したとしても、自ら発表資料に載せているあたり、府のいうとおり「よかれと思った」対応なのだろう。だとしても適切な飛散防止対策なしに吹き付けアスベストを「封じ込め」ていたとすれば、飛散リスクのある不適正作業と判断される可能性もある。

堺市では2016年6月に北部地域整備事務所の改修工事でアスベストを使用した煙突を届け出や対策なしに解体させ、大阪府警に書類送検された(2017年3月嫌疑不十分で不起訴処分)。その後も同事務所の不適正作業現場の「後片付け」工事で煙突内のアスベストについて除去残しが存在するとの指摘を市が報告書から削除させたうえ、実際に残存が確認されて問題になった。

同市の一連のアスベスト問題について当初からかかわった職員がほとんど異動した結果、またも対応がずさんになってきたのか。あるいは当初から反省や再発防止が足らなかったのか。

「あれだけのことがあってもう風化したのか。堺市にはもう少し注意深く対応してもらいたいのですが……」

疑惑の発表後、関係各所から呆れと諦めが混じるため息が相次いでいる。

まずは指導権限を持つ市環境対策課が関係者や事業者へのヒアリング、施工写真の確認などにより徹底した調査をする必要がある。そのうえで、改めて市はアスベスト対策を検証すべきではないか。