◆「集会・結社・表現の自由」が侵害されるおそれ

昨年11月の国会での高市首相の「台湾有事・存立危機事態」発言以来、反発する中国との関係が緊張し、悪化するなか、インターネット上を中心に中国敵視の排外主義的な風潮も広がりをみせる。中国との融和・信頼醸成を唱える政治家や言論人などに対し「媚中派」とレッテルをはり、悪罵を浴びせる言説が繰り返され、政府批判をする人間を「反日分子」と中傷する言葉もネット上を飛び交う。SNSには「スパイ防止法に反対する奴はスパイ」、「中国の手先」といった悪意の個人攻撃も書き込まれている。

参議院議員会館で開かれた「第3回スパイ防止法を考える市民と超党派の議員の勉強会」(2025年12月16日撮影)

そうした偏狭な排外的空気、社会分断の風潮がはびこるなか、スパイ防止の名目で「外国代理人登録法」などが制定されたら、「日中友好」や「日中不再戦」などを唱える市民団体、NGO、NPO、公益社団法人などの民間団体やそのメンバーが、あるいは団体に属さない個人も、「外国の利益を代表して活動する外国代理人」すなわち「外国勢力」、「中国の手先」と一方的に決めつけられ、誹謗中傷されるおそれがある。

「外国代理人登録」の圧力がかかれば、前出の自民党・小林政調会長の「監視下に置く」という言葉どおりに、市民が監視対象、取り締まりの対象にもされかねない。インターネット・SNSを中心に、「外国勢力」と内通する「非国民」などとレッテルがはられ、白眼視されて社会的排除の対象とされ、活動を委縮させられる事態も起こりうる。まさに憲法が保障する「集会・結社・表現の自由」(第21条)が侵害されるおそれがある。(つづく)

吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。

★新着記事