◆負傷兵を救護・処置する「安定化拠点」

戦闘で兵士が負傷すると、最初に搬送されるのが「安定化拠点」と呼ばれる場所だ。

ロシア軍と直接対峙する接敵ラインの少し後方に置かれ、蘇生や止血などの処置を施す。負傷兵の状態を一時的に安定させてから、設備の整った都市部の大規模病院へと送る。いわゆる野戦病院の一種ではあるが、応急処置をする中継地という側面が大きい。

安定化拠点もまたミサイルや砲撃で狙われるため、地下の掩蔽壕、バンカーに設置されることが多く、戦況に応じて移動する。

簡易ベッドが並ぶ安定化拠点のフロア。大きな戦闘があったときは、一度に何十人もの負傷兵が運び込まれる。(2025年4月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)
心肺蘇生装置を手にするイワン看護師。この2年ほどは、自爆ドローンが戦術的に戦闘に投入されるようになり、ドローンの爆発による死傷が増えているという。(2025年4月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)

第5独立強襲旅団は、ドネツク州のバフムトでの激戦を経て、クラマトルスクとコスチャンティニウカ(コンスタンチノフカ)一帯の戦域に展開。熾烈な戦いを繰り広げる強襲旅団の衛生中隊の安定化拠点に入った。

防護壁で固められたフロアは、複数の区画に分けられ、人工呼吸器や超音波診断装置、簡易ベッドが並ぶ。

看護師として病院で働いていたイワン看護師(32)は、2022年の侵攻後に入隊し、衛生中隊に配属された。

「前線での任務に最初は恐怖もありましたが、それは次第に慣れていきました。むしろ瀕死の重傷を負ってここに運ばれてきた兵士たちの悲痛な姿のほうが心を重くし、それは幾度も経験した今も慣れるものではありません」

看護師として病院で働いていたイワン看護師(32)は、2022年の侵攻後に入隊。衛生中隊に配属された。(2025年・ドネツク州前線・第5独立強襲旅団写真)
衛生中隊の兵士。髪型はウクライナ伝統のコサック兵のオセレーデツィ。前線ではコサック兵にあやかった髪型の兵士がたまにいる。日本のちょんまげ武士のサムライ精神のような感じだろうか。(2025年4月・ドネツク州前線・撮影・アジアプレス)
ウクライナの学校では戦地の兵士に激励メッセージを書く時間がある。子どもたちから寄せられた絵とメッセージが貼ってあった。上の絵は、剣を振り上げるコサック兵。(2025年4月・ドネツク州前線・撮影・玉本英子)

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