
北朝鮮では2025年初頭、個人の車両所有が認められた。アジアプレスは、北朝鮮内部の取材協力者とともに、中国から大量の密輸車両が入っていることや、新たにタクシーやレンタカー事業が広がる兆しがあることなど調査報道してきた。最近の国内からの報告によると、女性運転手が登場し始めているが、男性の間から強い拒否反応が出ているという。両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の取材協力者が3月下旬に伝えてきた。(洪麻里/カン・ジウォン)
◆皆無だった女性の運転…夫婦でタクシー運転手も
恵山に住む取材協力者は、最近の変化をこう話す。
「昔は(経済特区の)羅津(ラジン)で運転している中国人女性がいたら、不思議でじっと見たものだが、今では国内でもちょくちょく見かけるようになった。恵山でも、たまに黒い眼鏡をかけた女性が運転しているのを目にする。
夫と交代でタクシー運転手をしている女性もいる。もちろん誰でも運転できるわけではなくて、運転免許を取得しているのは幹部の子どもやトンチュ(金主の意、新興富裕層)たちだ。運転を仕事にしているというより、家族や会社の車を運転しているようだ。女性の運転は、清津(チョンジン)や咸興(ハムン)、平壌(ピョンヤン)などではもっと多いそうだ」
しかし、女性運転手に対する男性の反応は酷いものだという。
「女性が運転しているのを見かけると『ムカつく』と唾を吐く男性がいる。いくら上(党)が男女平等社会だといっても、男尊女卑の考えがまだ強いからね」

◆免許取得に35万円超! 3カ月で12.5倍に急騰
運転は男性がするものという固定観念が根強くあるのだろうが、男性が女性の運転を敵視するのはそれだけが理由ではないようだ。
アジアプレスは今年1月の記事で、免許取得に必要な賄賂の額が「以前は300~500中国元(7千~1万2千円)で済んだが、今では運転技術があっても1200元(2万8千円)は払わなければならない」と伝えていた。それがこの3カ月程の間に、1万5千元(35万円)まで跳ね上がったという。
協力者は、「一時は、いつの日か、我われも運転できる時が来るかなという雰囲気だった」と話す。ところが、今や車の運転は富の象徴であり、大多数の庶民にとっては格差の広がりを痛感させられる対象となっている。女性蔑視が強い北朝鮮社会で、「自分は運転どころか米もろくに食べられないのに、よりによって女が車を運転するなんて」と、不満の矛先が女性運転手に向かっていると考えられる。
なお、運転免許を取得しようとする人は急増したものの、まだまだ富裕層に限られた現象だ。
「運転してみたいという人は多いけれど、ほとんどの人はお金に余裕がなくてできない。(個人の)車で(商機を見つけて)稼ぐのではなく、(雇用されて)タクシーや荷物運送などで稼ぐケースがほとんどだ」























