建設工事に動員された女性。男性と同じように背負子でブロックを運んでいる。2025年9月、両江道恵山市を中国側から撮影(アジアプレス)

北朝鮮では小学2年時に加入する「朝鮮少年団」を皮切りに、必ず何らかの社会団体や組織に所属し統制を受ける「組織生活」が義務付けられている。それはひとえに、全住民を労働党と政府の管理下に置き、党と指導者への忠誠と服従を強いる規律を徹底的に貫徹させるためだ。その中でも、ひと際組織力があり規律の厳しいのが「女性同盟」(朝鮮社会主義女性同盟)だ。アジアプレスはその最新の活動実態に迫った。過酷な動員について、両江道(リャンガンド)と咸鏡北道(ハムギョンブクト)に住む複数の女性取材協力者が送ってきた内容を2回に渡って報告する。(洪麻里/カン・ジウォン)

◆どこよりも強い組織力「国営企業のよう」

北朝鮮では、年齢、職業、性別などに応じて加盟必須の社会団体がある。例えば、概ね30歳以下の労働者や学生が加入する「社会主義愛国青年同盟」や、30歳以上のすべての職場の労働者で構成される「朝鮮職業総同盟」、農場員らによる「朝鮮農業勤労者同盟」などだ。「女性同盟」(通称、女盟)は、主として結婚後に夫の扶養に入って職場を持たない主婦が所属する。

女性同盟に所属する咸鏡北道の協力者A氏は「女盟はどんな企業、団体よりも組織力が強い」と話す。

「女盟組織はひとつの国営企業のような役割をしていると考えればいい。社会動員、農村への援農動員、工事(建設)現場にも動員される。今は地域別に秋の動員があり、(山に入って)薬草採取をしたり、女盟内に組合を作ってチョムル(草物)製品の生産をしたりしている」
※チョムル(草物)製品:草木を加工して作る小物入れや壁掛け、置物などのこと。主に中国に輸出している。

農村の収穫作業に動員された女性たち。畑中で会議をしている。2023年9月、平安北道朔州郡を中国側から撮影(アジアプレス)

◆農村、建設現場、道路補修、掃除…動員だらけの日常

A氏が「ひとつの国営企業のよう」と表現する女盟では、一体どんな活動をしているのか? 両江道の協力者B氏は、その内容を詳しく説明してくれた。

「恵山(ヘサン)では、農村動員や薬草や果実、種の採取、道路補修、掃除、都市美化事業などの『社会的課題』と呼ばれる動員がある。農繁期には農場に毎週3~4回以上派遣され、草刈り、水やり、耕作、収穫などの援農作業をする。また、一部の人は宣伝活動や芸術公演もする」

薬草や果実は採取して販売することで女盟の活動資金にしているようだ。種の採取というのは、道沿いに花を植える都市美化活動の一環である。では、宣伝活動、芸術公演とはなにか? B氏は「建設や農村支援の現場で、女盟員が歌や踊りの公演をしたり、旗を振って行進したりする。女盟員の中で芸術分野に秀でた人員を選抜して宣伝煽動隊として活動をさせているのだ」と説明する。つまり、労働動員された人々の士気を鼓舞する活動だ。

女盟の活動はこれだけに留まらない。B氏は続ける。

「家畜を育てたり副業地を運営したりする仕事もある。それと、『善行運動』という名目で野菊やコスモスなどの花を年1回、(都市美化のために)組織的に納めなければならない。今年は建設ブームで、工事現場に動員されることも多い」
※副業地とは、軍部隊などの機関や企業が、構成員に供給する食糧を生産するための農地のこと。

協力者がざっと羅列しただけでもあまりの役割の多さにうんざりするほどだ。

建設工事に動員された両江道恵山市の女姓たち。2025年9月、中国側から撮影(アジアプレス)

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