最初の砲弾が着弾した民家の庭。すぐそばでたき火にあたっていた男性2人が死亡した。着弾した場所のすぐそばに防空壕が掘られていた(2月8日カチン州ライザ、赤津陽治撮影)

最初の砲弾が着弾した民家の庭。すぐそばでたき火にあたっていた男性2人が死亡した。着弾した場所のすぐそばに防空壕が掘られていた(2月8日カチン州ライザ、赤津陽治撮影)

 

改革が進むといわれるミャンマーでは、昨年末以来、カチン州での内戦が激しさを増している。一昨年6月の停戦決裂で国軍と戦闘状態にあるカチン独立機構(KIO)の本拠地ライザ市内では先月14日、国軍の放った砲弾が民家に着弾し、市民3人が死亡、4人が負傷した。
着弾したライザ市中心部カーチャンローク地区の民家を訪れると、砲弾が落下した場所は、地面が大きくえぐられ、そばのコンクリートの壁は砲弾の破片に貫かれ、大きな穴がいくつも開いていた。

目の前の家に住むランジョー・センローさん(22歳)は14日朝、庭の近くでたき火にあたっていた。そのとき、突然轟音が聞こえ、地面が揺れるのを感じた。飛び上がって、庭の方を見ると煙が上がり、男性2人が地面に横たわっていた。一人は、腹から内蔵が飛び出ており、もう一人は頭が割れていた。

庭で水を撒いていた妹も、腹を負傷し、動けないまま倒れていた。家族が抱え上げ、病院に先に向かった。後からバイクで病院に向かおうとしたとき、最初の着弾から10分ほど後だった。すぐ近くの別の民家にもう一発の砲弾が着弾した。近所に住む15歳の少年が亡くなった。

最初の着弾から約10分後、2発目の砲弾が着弾した民家。近所に住む15歳の少年が死亡した。(2月8日カチン州ライザ、赤津陽治撮影)

最初の着弾から約10分後、2発目の砲弾が着弾した民家。近所に住む15歳の少年が死亡した。(2月8日カチン州ライザ、赤津陽治撮影)

 

現在、負傷した妹は、中国側の病院に入院中だ。センローさんは、積み上げた薪に守られ、幸い無傷だった。しかし、着弾があった日から毎晩、対岸の中国側に渡って借りた部屋で眠り、朝戻ってくる生活を続けている。周辺の住民の多くも、国内避難民キャンプや中国側に避難している。

国軍は昨年12月中旬以来、ライザ周辺のKIOの軍事部門であるカチン独立軍(KIA)に対し、戦闘機やヘリコプターを使った攻撃を始め、先月26日には、ライザ周辺で最も高くKIAの重要拠点であるカヤブム(1012メートル)を攻略した。同地はライザから約5キロの至近距離にあり、「ライザはすでに陥落したに等しい」(中緬国境に詳しい軍事アナリスト・アウンチョーゾー氏)といわれる。
【カチン州ライザ=赤津陽治】
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