小川に捨てられていた豚の死骸。腐乱している。 写真 2013年11月湖北省宜昌市

小川に捨てられていた豚の死骸。腐乱している。 写真 2013年11月湖北省宜昌市

 

この養豚場の近くでも最近、豚の投棄があったと聞き、その場所に向かった。畑と畑の間を走る未舗装の土の道が、小さな橋にたどり着いた。車からおり て、橋の下をのぞくと、小さな流れがあり水の中に複数の豚の死骸と骨が散乱しているのが見えた。腐乱しておりそれなりに時間が経過しているようだ。その小 川にそって歩くと、土手にも強烈な匂いともに、腐乱した豚の体躯の一部や骨が散乱していた。誰かが故意に死骸をこの周辺に投棄したことは明らかだ。
●取り締まりで死骸を売買できず投棄?

中国政府は、食品の安全に絡む犯罪を厳しく取り締まる方針を示している。中でも病死した豚を流通させる犯罪は重点的な摘発対象の1つになっている。実際にこの湖北省のケース以外にも同様の事件が次々と明るみにされている。

一方、取り締まりによって死んだ豚の流通経路が断たれたため、不法投棄が増えたのではないか、との指摘や報道もある。そこに本当に因果関係があるかどうかは、明らかではない。

豚の死骸が不法投棄されるのは、処理のための手間や費用を惜しむためなのか。しかし、川などに投棄されているならば、むしろその肉が消費者の口に入 らないだけマシなのか。死んだ豚を巡る問題は、利益の為ならなり振り構わず、他人の健康さえ犠牲にすることを厭わない利己的な人々の存在を教えてくれるも のと言えるのかもしれない。川に漂った豚の死骸は、中国社会の行き過ぎた拝金主義に警鐘を鳴らしているかのようでもある。

◎アイアジア(http://www.npo-iasia.org)

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