脱出したばかりの女性たちは、学校の校舎に身を寄せる。「2年間、外ではISの命令どおり、いつも黒いニカブで顔も覆っていた」と話した。(10月5日撮影・玉本英子)

脱出したばかりの女性たちは、学校の校舎に身を寄せる。「2年間、外ではISの命令どおり、いつも黒いニカブで顔も覆っていた」と話した。(10月5日撮影・玉本英子)

 

イラクでは、政府軍やクルド自治区ペシュメルガ部隊と、武装組織IS(イスラム国)との戦闘が続く。米軍主導の有志連合の空爆作戦もあり、ISの劣勢が伝えられるが、依然として多くの地域をISは支配している。地元では主要都市モスルでの大規模な戦闘が近く開始されるといわれ、欧米メディアが自治区アルビルに詰めかけている。戦闘が起きれば100万ともいわれるモスル市民の巻き添えが懸念されている。

戦闘の激化にともない、ISによる住民への締め付けが厳しくなり、生活困窮や恐怖支配に耐えられなくなった住民の脱出が急増している。人びとは支配地域から自由に出ることを許されていないが、比較的安全な北部のクルド自治区を目指す。中には地雷が埋まる危険地帯を抜けて脱出する者もいる。

10月5日、ISとの戦闘地域にほどに近い、イラク北部マハムールの避難民キャンプを訪れた。キャンプには、モスル、セラハディン、ハウィージャなどのIS支配地域から脱出してまもない300人ほどが敷地内の学校やモスクに身を寄せていた。避難民はスンニ派アラブ人で、ほとんどが着のみ着のままだった。
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支配地域では、何が起きているのか。脱出してきたばかりの住民を取材した。写真報告する。(イラク・マハムール:玉本英子)

「近くの地区に住んでいた男が、ISの悪口を人に話した罪で、口を縫われてさらし者にされていたのを見た。ISの命令には住民は服従するしかなかった」とモスルから脱出した少年は話す。(10月5日撮影・玉本英子)

「近くの地区に住んでいた男が、ISの悪口を人に話した罪で、口を縫われてさらし者にされていたのを見た。ISの命令には住民は服従するしかなかった」とモスルから脱出した少年は話す。(10月5日撮影・玉本英子)

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