市長当選後、アスベスト対策条例の制定を「検討する」──。9月24日に投開票される大阪府堺市長選の両候補者がそう表明していることを被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会(小林雅行会長)が公表した。(井部正之)

大阪府堺市が6月3日に開催したアスベスト被害や検診の重要性についての講演会には市民ら130人あまりが足を運び、関心の高さをうかがわせた(井部正之撮影)

◆現職は総合対策、新人は被害者支援を重視
同市長選は自民党や民進党などが支援する現職の竹山修身氏(67歳)と大阪維新の会元府議の新人、永藤英機氏(41歳)の両候補による一騎打ちの構図となっている。 堺市では2016年6月、市発注の工事でアモサイト(茶石綿)を高濃度に含有する煙突を法に定められた対策なしに解体して周辺にアスベストをまき散らす違法工事を引き起こし、大阪府警が市と職員を書類送検した。

また、市内で過去に麻袋の再生業が盛んだったことから、元労働者や周辺住民に中皮腫などが発生するなど、アスベスト問題に揺れている。 両候補のマニフェストではアスベスト対策について一切触れていないが、「家族の会」堺対策チームが実施し、9月20日に公表した公開質問状に対する回答で両候補がどのようにアスベスト対策に取り組む考えなのか、その一端が明らかになった。

「家族の会」はまず市長当選後どのようなアスベスト対策を実施するつもりなのかについて尋ねた。 現職の竹山氏は「守るべきは市民の健康である」との方針を基本に、5月に設置した、市長を本部長とする「堺市アスベスト対策推進本部」の主導のもと、
(1)建築物の解体等におけるアスベストの飛散防止、
(2)アスベスト対策における市民の健康、
(3)アスベストに係る知識の普及・啓発──について、課長レベルの部会を設置して具体的に検討・対策を推進していく方針を掲げた。 さらに「この推進本部において、アスベスト対策に係る市独自制度の実施についても、検討を進めていきます」とも表明した。

一方、新人の永藤氏は2016年6月の堺市北部地域整備事務所の改修工事におけるアスベスト飛散事故に関連して、「堺市北部地域整備事務所アスベスト飛散の検証に関する懇話会が4回開催されて事件の究明等にあたっていますが、市長みずからこの懇話会にて発言した様子がありません。

トップマネジメントの欠如は明らかであり、アスベスト対策推進本部の本部長でもある堺市長がこのような姿勢では、多くのアスベスト被害に苦しまれている方々を十分支援できているとは思えません」と批判。 そのうえで「行政はアスベスト被害に苦しんでおられる方が市民生活をおくる上で困難を感じることを全力で減らしていくべきだと考えており、行政の専門家を交えて具体策を早急に検討する考えです」と被害者の支援について検討する方針を明かす。 次のページ:両候補とも条例「検討」を約束…