ダマスカス近郊の勢力状況(2018年2月時点・アジアプレス作成)

◆攻撃激化に「私もいつまで生きていられるか…」

反体制派の拠点地域、東ゴータは、これまで政府軍の包囲が続いてきた。2月18日夜に始まったシリア政府軍による東ゴータへの大規模な攻撃では、市民に多数の死傷者があいついぐ状況となっている。東ゴータ・サクバ地区の住民でフォトジャーナリストのアブドゥル・アルバセッド氏(28)にネット回線電話を通じて状況を聞いた。インタビューは2月20日。(玉本英子・アジアプレス)

Q:あなたのいる地区はどのグループがコントロールしているのですか?

アブドゥル・アルバセッド:私のいる地区は東ゴータのサクバです。自由シリア軍がいます。反体制派といってもいくつもグループがあって、ラハマン軍団とイスラム軍などがあります。

Q:あなたの地区の周辺では、政府軍部隊のほかにレバノンのヒズボラ、イランの民兵なども作戦に参加しているのですか?

アブドゥル・アルバセッド:はい。空爆は政府軍とロシア軍がやっているので、シーア派やイランなどの民兵は、地上軍として侵攻を企てています。しかし自由シリア軍がそれらを阻止しています。ロシア軍は爆撃のほかに、地上軍でも民兵を支援するなどしています。

反体制派拠点地域・東ゴータはシリア政府軍に包囲され、断続的に攻撃が加えられてきた。写真は2月上旬、破壊された民家のがれきの下から救出される子ども。(ダマスカス近郊、東ゴータ・サクバ2月6日アブドゥル・アルバセッド撮影)

◆長期にわたる包囲で、住民生活苦境に

Q:政府側はなぜ、一般市民を他の安全な地区に移動させ退避させることを認めようとしないのでしょうか?住民はこの地域から外に出ることは認められないのですか?

アブドゥル・アルバセッド:2011年に反アサド政権運動が広がり、この地域が反体制派の拠点となったときから、ずっと包囲が続いてきました。特に2013年にはアサド政権・シリア政府軍に完全に取り囲まれました。その間、様々な攻撃が加えられました。化学兵器も使われました。

その後、国連がアサド政権と交渉し、地区に限定的な食料搬入が認められるようになりました。現在、東ゴータ全体でおよそ40万人が住んでいると思われますが、住民はこの地区から出ることは認められません。この地区から出ていくことを望む住民もいるものの、アサド政権が認めようとしないのです。

Q:電気や水、食料の状況はどうでしょうか?

アブドゥル・アルバセッド:東ゴータは、完全包囲されてから、自立して独自に機能してきました。経済的な封鎖が続き、電気供給や、水もない状態です。そのため発電機を使ったり、ポンプで地下水をくみ上げたりしてきました。

食料状態は極めて悪いです。たとえばトマトの値段は1キロ4000ポンド(約1000円)です。ダマスカスはここからわずか3キロ先ですが、1キロ、半ドルです。(=約50円)。ですから20倍もします。あらゆるものが高いのです。

地域が完全包囲された2013年から高騰し、2014~2015年には住民の飢餓状態が深刻になりました。このときは砂糖1キロが75ドル(約8000円・当時)にも跳ね上がりました。その後、徐々に下がりましたが、現在、攻撃が激化したため、食料が再び入りにくくなっています。すべてのパン屋は19日以降閉じています。厳しい状況です。

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