堺市が強調する「残存部分は極小」と記載された中間報告書(傍線筆者)。実際には「粗い仕事」とずさんな施工だったとも指摘(井部正之撮影)

 
大阪府堺市が2017年に実施した煙突内のアスベスト除去工事が不適正だった問題をめぐり、6月12日市議会本会議における市の主張を改めて考える。(井部正之・アジアプレス)

◆残存「極小」でも法違反 「残存部分は極小」

これは大阪府堺市が北部地域整備事務所の煙突内におけるアスベスト残存問題について、専門家による調査後となる6月12日の市議会本会議での答弁である。

煙突内にアスベストは「ない」と言い張ってきた堺市にとって、5月27日の専門家による調査でその存在が裏付けられた結果、かろうじて残された拠り所だったのだろう。煙突内にアスベストはないと言い続けたことに謝罪するわけでもなく、堺市は「残存は極小」と言い続けた。

この問題を追及してきた長谷川俊英市議は「極小」と繰り返す市の姿勢に「極小極小極小極小と強調した」「報告書のどこにあるのか。建築物石綿建材調査者協会の調査報告書には書いてない。また測定報告書を改ざんするのか」と怒りをぶちまけた。

だが、じつのところ、同協会の報告書に記載はあった。問題は堺市がこれをもって、あたかも工事が適正であったかのように強調したことだ。

堺市が拠り所とする極小との記載は、中間報告によれば、〈煙突用アスベスト断熱材の大部分は除去されており、残存部分は極小〉というもので、除去量に比べればアスベストの残存量は少ないというだけに過ぎない。

アスベスト除去工事で、除去物よりも残存物が多いなどということはおよそ考えられない。この「極小」という表現は、いわば同協会による調査の委託元である堺市に対するリップサービスであろう。だから工事は適正だった、との結論では決してない。

事実、中間報告はこの2017年の専門業者が実施したというアスベスト除去工事について、「横引煙道の接続部の取り残し」や「筋状の取り残し」などから、〈細部の施工状況は“粗い仕事”であると判断される〉と施工のずさんさを指摘している。

厚生労働省の「技術指針」や環境省のマニュアルなどでは除去作業後に「石綿等の取り残しがないことを目視で確認」するよう求めている。また技術的な事情などで「どうしても除去できない部分については記録に残す」ことも記載されている。

つまり、目視で確認できる程度のアスベストの取り残しは許されない。しかも厚労省化学物質対策課は技術指針を「規制の一部」と説明しており、施工業者が労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)違反と判断される可能性もある。実際に労働基準監督署が技術指針の不履行により石綿則違反の疑いがあるとして書類送検した事例もある。

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