朝9時過ぎ、バグダッド西部のアル・アダミヤ地区のスンニー派モスクの近くへ。息子を米軍に殺害された男性の取材。12月15日、このモスクのそばで起きた反米デモに米軍が無差別発砲。約30人が死亡。流れ弾で死んだ青年の両親や妹たちに話を聞く。

取材中、ティグリス川を挟んで向かい側にあるアル・カディミヤのシーハ派モスクで連続自爆テロが発生。同時にバグダッドの南の聖地カルバラでも爆発があり、双方合わせて100人以上の死者が出ているとの情報。地元のテレビは現場から生中継。

テレビに見入っているイラクの人々も思わず目をそむける無残な光景が流れる。近くの病院に運ばれてきた負傷者を撮る。外国人はなかなか入れてくれなかったが、モハメッドの粘りで許可が出た。ただし犠牲者を収容した総合病院はダメ。またモスクも入り口で止められた。

「メディアの人間を入れるともめごとばかり起こす」とシーア派の警備兵。おっしゃる通りです。ぼくが警備責任者でも、ジャーナリストは絶対に中へ入れない。彼らはたいてい宗教なんか信じちゃいない。信仰の尊厳もへったくれもなく、何でもカメラは向けるし、誰かれかまわずマイクを突き出す。行儀の悪い人間であることは認めざるをえない。自分でも心あたりはあるから、スゴスゴと引き返そうとしたら、モハメッドはあきらめていない。

口に泡を飛ばさんばかりの激しい抗議。武装警備員の顔もマジになり、雰囲気が険悪になってきたので、必死でモハメッドをなだめた。友人のカメラマン村田信一も爆破されたモスクの取材中、興奮した群集に襲われかけ、「通訳の機転がなければ、ほんとうにやばかったです」と冷や汗をかいた。今日は無理をせず、このまま引き返した方がいい。
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