「人民戦争は最後の段階に来ている」
私たちがコルチャバン村ハンニンに着いたのは、午前10時ごろだった。マオイストのロルパ郡第4地区が主催する“ジャナバディ・メラ(コミュニスト祭り)”の会場は、標高2000メートルほどの山の峰にある広場だった。

広場の中央にはバレーボール・コートが作られ、その周囲には周辺の村々から来た人たちがテントを張って、食堂や店を開いていた。大勢の村人は、すでに昨日の夜に到着し、開会式を待っているところだった。

ハンニンは、第2ラウンドの和平交渉が決裂した直後の昨年9月はじめに、政府側治安部隊とマオイストのあいだで交戦があった場所だった。徒歩で数時間の距離にある郡庁所在地リバンからコルチャバン村に来た数百人の治安部隊が、“メラ”の会場となっているこの広場に駐屯した夜、マオイストが襲撃を仕掛けた。交戦は2日のあいだ続き、マオイスト側の主張によると、政府側に11人、マオイスト側に7人の死者が出た。治安部隊は引き上げる際、民家数軒に火をつけたという。

(写真右:自分の村のチームが点をとって喜ぶ村人)
バレーボール・コートで開会式が始まった。村には電気が通っていないために、ソーラー・システム(太陽電池)を使ってマイクで演説する。

主賓席の後ろには、人民戦争が始まったあと、第4地区で政府側に殺害された大勢の“サヒド(犠牲者)”の写真が飾られている。主賓の一人で、第4地区元党責任者サンバトが演説を始めた。
「われわれの人民戦争は最後の段階に来ている。中央権力を占拠するために最後の闘いに入ろうとしている。私たちは政府との対話に反対しているわけではない。政府側がネパール国民に完全な主権を与えることに同意するなら、われわれも対話の席に着くだろう。さもなければ、私たちは戦いを続けるだけだ」

首都カトマンズでは、和平交渉の再開に対する期待が日に日に強まるばかりだが、こうしてロルパでマオイストの話すことを聞いていると、対話解決の道はまだまだ遠いことを肌身で感じる。
開会式が終わると、参加している4つの村の学校対抗のバレーボールの試合が始まった。山岳民族であるマガル族の少年たちは、もともと運動神経がいいのだろう。

白いボールを追って、白熱したゲームが続く。ポールに共産党の赤い旗が立てられた野天のコートで繰り広げられる試合を、各村から来た人たちは心から楽しんでいるようだった。この祭りの正式名称は“第1回トルパ(ここの地名)民族文化祭り2001”である。祭りの目玉は、この地域に住むマガル族の伝統的な踊りや音楽を披露することだった。

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