私たちも、パンチャヤト時代から何度も民主化のために闘ってきて、もう疲れたという感じがあることも否定できない。リスクを負って運動に参加したところで、その結果がこの14年間と同じことならば、参加しても仕方がないという感情もある。この14年間、汚い政治をしてきたギリザ・プラサド・コイララやマダフ・クマール・ネパールの名前など聞きたくもないという人が大勢いる」
しかし、それでも「マオイストの武装闘争は決定的要因とはならない、政党の平和的民主化運動が将来を決める」とサングラウラ氏は話す。

「政党が一般国民の支持を勝ち取りたかったら、まず、リーダーは国民の前でこれまでの自分の過ちを認めなければならない。それもできないのであれば、政党の若い世代のリーダーが彼らを追い出すべきだ。道がクリアーにならないと誰も支持しない。

UMLが第二世代のリーダーの圧力でその動きを始めているが、この動きに勢いがつけば、NCにも影響して古いリーダーシップを除去する動きが出る可能性がある。
そうなれば、ゆっくりと一般国民も運動に参加してくる可能性はある」
現在、国王率いる政府には、国内よりも国外、特にドナー国・機関からの強い圧力がかかっているが、これに関してサングラウラ氏は警告を発する。

「ネパールに対して最大の影響力をもつインド政府は今のところ反絶対王政・政党支持のスタンスをとっているが、このスタンスがいつまで続くか疑問だ。インドのスタンスが弱くなると、アメリカやイギリスのネパールに対する圧力も弱くなるだろう。

しかし、いずれにしても、外国からの圧力が決定的要因になるようではだめだ。国内の運動が決定的要因にならないかぎり、根本的解決にはならない。そのためにも、政党内で第二世代のリーダーシップが強くならないと、私たちは敗北することになる」

政党の、特に若手活動家のなかから共和制要求を求める声があがっているが、サングラウラ氏は「1990年の民主化運動よりも大規模な平和的運動が起こらないかぎり、共和制になるのは難しい」と言う。
「今、共和制のスローガンだけを街頭であげても、一部の知識人が共感を示すだけで、国民がそれに加わるとは思えない。

マオイストが要求している新憲法制定のための制憲議会選挙のスローガンでも、NCのコイララ党首がこだわっている国会復活のスローガンでも、大半の国民の支持を得られるとは思えない。庶民を運動に巻き込むには、むしろ、この14年間に政党が無視してきたダリット(不可蝕民)や少数民族に対する明確な政策、雇用政策などのはっきりとした方針を打ち出すべきだ」
民主化勢力を取り巻く状況は厳しくとも、それでも「必ず、春は来る」とサングラウラ氏は名言した。

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