マンダレー管区の囚人たち(中)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【ラングーン(ヤンゴン)の南西、デルタ地方にて偶然見かけた囚人たち。畑の草刈りをしていた。すぐ近くに刑務所があり、そこに収容されていると思われる】

バイクは走り続ける。
写真を撮ることのできなかった心残りで、今や道路の両側を流れる去る風景を楽しむ余裕はない。
更に5分ほど走ると、またもや15人ほどの囚人たちの姿が目に入った。

バイクの運転手は、彼らの姿をよく見ているのか、スピードを落とすことなく、エンジンを吹かし続ける。
私は横目で、働く囚人の様子を見続ける。
先ほどの囚人と違って、こちらは畑仕事をしているような感じだ。

ああ、今度こそ、バイクを止めてもらおうか。
いやいや、先ほど諦めたんだろう。
またもや迷いが生じていた。

こういう迷いの上での行動が一番危ない。
写真はヤメだ。
改めてそう自分に言い聞かせる。
今日は、最初の目的地であるイラワジ河の向こう岸に行って、町の写真を撮ることが最優先なんだ。

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【タイの国境が近い、カレン州の州都パアンの刑務所の入り口】
バイクはそのまま約1時間ほど走り続けて、川岸にたどり着いた。
船にバイクを積んで、マンダレー管区からザガイン管区側に渡るのだ。
バイクタクシーの運転手に船代を交渉してもらい、向こう岸までの所要時間を確認してもらう。
やはりというか、船はすぐに出発しない。
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