チベット系民族と2つの名前(中)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。

ラワン人の子どもにかこまれるダウェさん。現在、言葉も生活風習もラワン式になっているため、タロン民族の独自性はそれほど感じられない。

ラワン人の子どもにかこまれるダウェさん。現在、言葉も生活風習もラワン式になっているため、タロン民族の独自性はそれほど感じられない。

 

私がここで、各民族のことをくどいほど書き連ねているのは、どの記述がより正確で信頼できるか、ということを言いたいのではない。こういう記述の変遷から考えられるのは、ある時代によって、その時々の政治勢力や時代の流れによって、物事の記述が変わる、と言うことを確認しておきたかったのである。

それこそ、基準 そのものが変わるのである。
さらに、その時々の政治勢力によって、民族の存在の有無が決められるなら、つまりは歴史の書き換えが行われるなら、人びとの記憶に残る歴史も書き換えられていくということなのだろうか。

ところが、現在の軍政のいう135の民族には、どういうわけかチベットという名前はない。それはどうしてか。
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