ミャンマー北東部のカチン州で7日、停戦していた少数民族武装組織カチン独立軍(KIA)とミャンマー国軍との間で戦闘が起こり、大隊長を含む国軍兵士8名以上が重傷を負った。タイを拠点にミャンマー報道を続けるイラワジ誌が伝えた。
昨年9月に停戦が決裂して以来、武力衝突が起きたのは初めて。

イラワジ誌によると、カチン州バモー市南東のKIA支配地域で7日朝、国軍第15歩兵大隊の車両が同地域に入ろうとして地雷が爆発。KIA第27大隊との間で銃撃戦となった。国軍側の大隊長が地雷の爆発で瀕死の重傷を負った。KIAの兵士は司令部からの指示を受けていないことを理由に国軍側を制止したが、国軍側が強引に入ろうとして地雷が爆発したという。
国軍側がKIA支配地域に入ろうとした目的は不明。軍事政権とKIAとの間で1994年に停戦協定が結ばれて以来、国軍側がKIA支配地域に入る際は、KIA司令部の許可が必要だった。

KIAは2009年以来、軍事政権から国境警備隊への編入を迫られてきたが、国軍の指揮下に入ることに反発し受け入れなかった。軍事政権側は、昨年10月の国営紙記事で、KIAを「反乱者」と表現。停戦決裂は決定的なものとなり、両者の間で緊張が高まっていた。

国軍側は同地域周辺に2個大隊を派遣したという情報もあり、戦闘が拡大する可能性がある。
KIAの政治部門であるカチン独立機構(KIO)は、少数民族武装組織各派の同盟組織である「連邦創設委員会(CEFU)」に加盟しており、加盟する他の組織がどう対応するかが注目される。

CEFUのナイホンサー書記長は、「新政府への移行期に国軍側が大規模な攻撃を仕掛ける可能性は低い。しかし、本格的な武力衝突に発展した場合、われわれは様々なかたちで協力しあっていく」と語った。
【赤津陽治】

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