◇長期的な食糧不足への懸念も
ビルマ(ミャンマー)北部のカチン州で戦闘が続いている。同州では6月9日、国軍がカチン独立軍(KIA=カチン独立機構の軍事部門。ビルマの少数民族武装勢力の一つ)との停戦合意を17年ぶりに破棄し、武力紛争が始まった。

現地の事情を把握している亡命者組織の在タイ・カチン女性協会(本部チェンマイ)によれば、戦闘地域ではこれまで同協会が確認しただけでカチン民族の女性や少女約30人が国軍兵士によって強姦され、このうち約10人が殺害されたという。

両親の目の前で強かんされた後に殺された少女もおり、KIA支持者だと国軍に疑われた住民が、国軍兵士に拷問を受けたり殺害されたりしたという報告もあると、同協会は主張している。

こうした虐待行為を含む戦禍を避けようと、戦闘が起きている地域からは約1万6,000人の住民が逃げ、KIA本部があるライザ周辺などに避難している。
地元の援助団体や教会などが食料や飲料水を支給するなどしているが、在タイ・カチン女性協会は、物資も人手も足りていないとして国際社会に緊急支援を求めた。
また、避難民の多くは農民で、田畑を放棄して逃げてきたため、このまま戻れなければカチン州で食糧不足が起きる可能性もあるとしている。
【寄稿:秋元由紀/ビルマ情報ネットワーク】

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