「親愛なるリスナーの皆さま。人びとに本当の情報を伝え、同じ民族どうしの交流が深まるように、FMライザをお送りしています」
少数民族カチン族の最大武装勢力カチン独立機構(KIO)の主要拠点ライザにあるラジオ局「FMライザ」。KIOの"政府"に相当するKIC(カチン独立評議会)の情報省管轄下に昨年10月22日から放送を開始した。

かまどの前でラジオを聴くカチン人青年。ミャンマーの少数民族カチン族の最大武装勢力カチン独立機構(KIO)の主要拠点ライザから放送されている「FMライザ」は、カチン州で広く視聴されているという。(2月13日カチン州ライザ、赤津陽治撮影)

 

放送は、午前6時〜午前11時と午後5時〜午後10時の毎日2回。開局後、ミャンマー政府軍の攻撃が強まり、先月はライザ市中心部が砲弾による攻撃を受けたが、現在まで1日も途切れることなく放送を続けている。
放送内容は、カチン関連のニュースやKIOが発表した声明、指導者の過去の演説などで、おもにカチン語で読み上げられる。広報的側面が強いが、半分以上は音楽。曲をリクエストする電話が、ひっきりなしに掛かってくるという。

スタッフ16人の少人数で運営しているため、現在は、曲のリクエスト受付を週3回(月水金)、午前10時からの2時間だけに制限している。「戦闘が激しくなればなるほど、前線の兵士を励ますための曲をリクエストする電話が途絶えません」と、センジャ総務課長(30歳)は話す。

センジャさんは、「ライザTV」の元アナウンサー。ライザTVはケーブルテレビ形式のため、視聴できるのはライザ市内に限定されていた。FMライザは、ライザ市内だけでなく、約120キロ離れたカチン州の州都ミッチーナーやパーカン、バモーなどのカチン州の他の地域でも広く聴くことができる。

「現在の政府軍との戦況や日本にいるカチン人のことなど、カチンに関する事柄を把握できるので、カチン人の多くが聴いている」と、ライザを訪れていたミッチーナー在住の牧師の男性は話した。
【カチン州ライザ=赤津陽治】

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