ただし、朝鮮の建設現場の労働環境はきわめて劣悪である。安全性のレベルも低い。いわゆる「強制労働」も同様である。たとえ一ヶ月とはいえ、事務仕事の現場からそのような環境に追いやられるのは、相当な苦痛だ。

そこでこの同僚は、建設現場の責任者にお金や酒などの賄賂を渡し、1ヶ月の処分期間をまるで休暇のように、自宅でゆっくり過ごしたという。

この同僚は、賄賂を贈る能力があったのでこれで済んだが、そうでない人の中にはとんでもない目に遭うケースもある。

建設現場の責任者が無報酬労働で派遣された人間に好ましくない印象を持った場合、「この人は仕事の態度が不誠実だ。まったく反省の色がうかがえない」などと上部に報告すると、労働期間が延長されてしまうのである。

だから無報酬労働の処分を受けた人々は、なんとしてでも現場責任者の歓心を買おうと、当たり前のように賄賂を贈る。つまり生活総和は、人々に健全な精神や道徳を持たしめるのとは正反対に、不信やルールからの逸脱を助長する場になっているのだ。(続く)

※当記事は、『北朝鮮内部からの通信「リムジンガン」第7号』に掲載されています。
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