◆ロヒンギャの人身売買被害とTPP
これはあまり大きく報道されなかったが、ロヒンギャの人身売買問題には「TPP(環太平洋連携協定 / 環太平洋パートナーシップ協定)」が絡んでいると推測されるのだ。
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2015年5月前後といえば、日本でも報道されたように、いよいよTPPの合意が得られるか、という時期に差しかかっていた頃である。人身売買の関与国として米国の報告書に最低ランクに位置づけられていたマレーシアの存在は、TPP交渉の障壁になる恐れがあり、そこで東南アジアでの人身売買の取り締まりが強化されたのであった。

ミャンマーラカイン州・シットウェーの難民キャンプで(撮影:宇田有三)

ミャンマーラカイン州・シットウェーの難民キャンプで(撮影:宇田有三)

米国CNNは米国務省の人身売買の実態に関する年次報告書(2015年)を受けて、次のように報じている(日経新聞やロイターなどの一部メディアも報じた)。

《 例えば4 段階で最低の格付けだったマレーシアは1 段階引き上げられた一方で、タイは最低評価のまま据え置かれた。両国ともミャンマーを脱出したイスラーム系民族ロヒンギャ族の人身売買ルートの一端を担っており、マレーシアでは今年、人身売買の被害者と見られる大量の遺体が埋められているのが見つかっている。

人権団体はこうした格付けの背景として、マレーシアは環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加していると指摘する。米貿易促進権限法には、最低評価の国と協定を結ぶことを禁じた条項がある。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの幹部はマレーシアの状況について、「移民が人身売買されて虐待され、国境付近でロヒンギャ族の被害者の遺体が見つかっているのに、摘発件数は年々減っている。国務省はなぜこれを改善と呼べるのか」と批判。「今回の格上げは、人身売買と闘うマレーシアの対応ではなく、TPPと米国の貿易政策によるものだ」との見方を示した。》
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