◆散乱する衣服の下から多数の人骨

【IS】2014年8月、シンジャル一帯の町や村を襲撃したISは、ヤズディ教徒の自警団をまず制圧。その後、住民に改宗を強制し、受け入れなかった者や見せしめに殺戮をはじめた。IS宣伝映像では、「アッラーの審判を不信仰者ヤズディに下す」とある。※一部をぼかしています(IS映像)

【IS】2014年8月、シンジャル一帯の町や村を襲撃したISは、ヤズディ教徒の自警団をまず制圧。その後、住民に改宗を強制し、受け入れなかった者や見せしめに殺戮をはじめた。IS宣伝映像では、「アッラーの審判を不信仰者ヤズディに下す」とある。※一部をぼかしています(IS映像)

イラク北西部シンジャルを制圧した武装組織イスラム国(IS)は、ヤズディ教徒に改宗を迫り、受け入れなかった者や見せしめとして住民の殺戮を開始した。虐殺はシンジャル一帯の町や村で起き、あわせて1200人におよぶ住民が殺害されたと言われる。その後、シンジャル中心部はクルド部隊によって奪還されたが、近郊ではいまも戦闘が続き、避難民が町に帰還するのはまだ先のことだ。ヤズディ住民は、これまで隣合わせに暮らしてきたイスラム教徒も信用できなくなった、と話す。ISは街を破壊し、人びとの関係も引き裂いていた。写真報告最終回。(玉本英子)

ISに拉致され、その後、脱出したヤズディ女性ナディア・ムラッドさんは、2015年12月、国連安保理で、ヤズディ虐殺の実態と自身に起きた悲劇を証言した。彼女の家族や親戚もISに殺されている。国連の独立調査委員会は今年6月、「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定し、国際社会が一致してこの問題に取り組むよう促している。(国連映像)

ISに拉致され、その後、脱出したヤズディ女性ナディア・ムラッドさんは、2015年12月、国連安保理で、ヤズディ虐殺の実態と自身に起きた悲劇を証言した。彼女の家族や親戚もISに殺されている。国連の独立調査委員会は今年6月、「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定し、国際社会が一致してこの問題に取り組むよう促している。(国連映像)

シンジャル近郊ではいくつも住民虐殺が起きた。そのひとつハルダン村を訪れた。この現場一帯で500人が殺されたという。遺体はそのまま放置されていたが、戦闘が続いていたため、墓に埋葬することもできず、この時も土を盛っただけだった。(2016年3月撮影・玉本英子)

シンジャル近郊ではいくつも住民虐殺が起きた。そのひとつハルダン村を訪れた。この現場一帯で500人が殺されたという。遺体はそのまま放置されていたが、戦闘が続いていたため、墓に埋葬することもできず、この時も土を盛っただけだった。(2016年3月撮影・玉本英子)

【関連写真を見る】イスラム国に迫害され離散するヤズディ住民(写真11枚)

ハルダン村の虐殺現場には住民の衣服やサンダルが散乱していた。生存者の村人によると、このジャケットを着ていた少女は、拉致しようとしたISから逃げ出したため殺害されたという。(2016年3月撮影・玉本英子)

ハルダン村の虐殺現場には住民の衣服やサンダルが散乱していた。生存者の村人によると、このジャケットを着ていた少女は、拉致しようとしたISから逃げ出したため殺害されたという。(2016年3月撮影・玉本英子)

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