Q. そのシットゥエー郊外の避難民キャンプに暮らしている国内避難民たちは今後どうなるのですか?
A. ミャンマー国内では、ロヒンギャに対する不信感と不安感が根強いので、今のところ、この状態が続きそうです。

そもそも2012年に発生した事件は、ロヒンギャ・ムスリムとラカイン人の対立でした。しかし、対立いっても、ロヒンギャ・ムスリムの数が多いラカイン州北部は(特にブーディタウン、マウンドーなど)は仏教徒のラカイン人が犠牲者となり、その他の地域では圧倒的にラカイン人が多いので、最終的にロヒンギャを問わず、一般のムスリムたちが迫害されました。

ムスリムたちは村や町から追い出され、現在の国内避難民キャンプの敷地内に閉じ込められました。その後、ムスリムたちが追い出された村には、外部から企業体が進出して土地を買収しているという話が伝わっています。ムスリムに対する差別を利用した事件を引き起こし、そこで巧妙に土地を収用しているのではないかと疑っている人もいます。このあたりも今後、噂か事実か検証する必要があるでしょう。(つづく)

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宇田有三(うだ・ゆうぞう) フリーランス・フォトジャーナリスト
1963年神戸市生まれ。1992年中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。東南アジアや中米諸国を中心に、軍事政権下の人びとの暮らし・先住民族・ 世界の貧困などの取材を続ける。http://www.uzo.net
著書・写真集に 『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』
『Peoples in the Winds of Change ビルマ 変化に生きる人びと』など。

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