公表された指針(建築物等の解体等工事における石綿飛散防止 対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン)は改修・解体工事の発注者または自ら施工する自主施工者が周辺住民らとの信頼関係を構築し適切な工事が施工できるよう、リスクコミュニケーションの考え方や手順をまとめたもの。ただし、発注者・自主施工者が自らそうしたことを実施するのが難しい場合、工事受注者やコンサルタント会社などに委託しても構わないという。

基本的には発注者・自主施工者や工事受注者らが周辺住民らに対し、説明会の実施やチラシの配布などにより、施工計画やアスベストの事前調査結果を提供するとともに、住民からの意見や不安に丁寧に説明。場合によっては施工方法などを変更するなどして対応することで住民の不安解消やトラブル回避につなげる。つまり、発注者や事業者が住民に対して情報提供や説明をし、住民からも意見を吸い上げるという双方向のコミュニケーションを実施することで結果として工事が円滑化されるとの考え方だ。

一応評価すべき点としては、指針ではリスクコミュニケーションを実施する必要がある工事を大気汚染防止法で届け出義務のある、吹き付けアスベストやアスベスト含有保温材など、いわゆるレベル1~2の除去などの「特定工事」だけに限らず、「すべての解体、改造、補修工事を対象」としたことだ。

パブコメでの質問に対し、同省は〈特定工事に該当しない場合であっても、解体、改造、補修の工事では、石綿に関するリスクコミュニケーションを実施することが望ましい〉と回答している。

また、着工後に新たなアスベスト建材が見つかったり、アスベストを飛散させる事故を起こしたりした場合、「直ちに工事を一時停止」し、飛散防止対策の有無や効果を確認・検討し、必要があれば、飛散防止措置などを講じるよう求めていることも重要だ。そうした場合、行政に報告や相談し、現場には速報を掲示。住民らに対しても説明会の実施など作業実施前と同じように事実関係を報告する。

指針は新たにアスベスト建材が見つかった場合でも〈速報提供後、新たに発見した石綿含有建築材料が残存している場合は、地方公共団体等関係機関の指導の下、必要に応じて事前調査の段階に戻ってからやり直します〉とある。つまり、速報などの説明の上で、改めてアスベストの事前調査を実施し、改めて工事再開前に説明会をやり直すなど、施工前のプロセスを改めてたどることになる。

飛散事故などの発生時には、
◎ 直ちに工事を中止し、事故等の状況を把握し、飛散防止の応急措置を講じる。
◎ 地方公共団体等関係機関及び自治会長等に、事故の状況・対応状況等について迅速に報告し、情報共有する。
◎ 地方公共団体等関係機関と連携し、石綿の漏洩・飛散等の状況(漏洩箇所や敷地境界等での大気中の石綿濃度の測定結果)の把握や事故原因の究明、石綿飛散防止に努めるとともに、周辺住民等に事故の状況及び対応状況、再発防止対策について説明する。

※大気中の石綿濃度の把握や事故原因の究明、再発防止対策の検討などに時間がかかる場合は、事故の状況や飛散防止の応急措置等についての第一報を速やかに周辺住民等へ伝えること。報告のタイミングが遅れると、周辺住民等の不信を増大させるおそれがあるので、注意すること。

◎ 周辺住民、マスコミ等からの問い合わせがあった場合は、誠意を持って速やかに対応する。
などの対応を求めている。
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