三本指を掲げながら、デモ行進する市民。(2021年2月7日、タニンダーイ管区ベイ市、ベイベイ撮影)

国軍のクーデターに反対するデモで、三本の指を立てる市民たち。ミャンマーの抵抗運動のサインとして定着しつつあるが、それには意外な背景があった。(赤津陽治)

◆抵抗のサイン「三本指」を掲げたミャンマー国連大使

「この革命を絶対に成功させなければなりません。国民こそが要です。革命は必ず成功します」。

2月26日、ニューヨークでの国連総会非公式会合で、チョーモートゥン国連大使は、演説の最後をビルマ語でこう締め括り、三本指を掲げた。軍の側ではなく、クーデターに反対する国民の側に自分は立つのだという意思をはっきりと示したのだ。選挙で国民に選ばれた議員らで構成される連邦議会代表委員会(CRPH)を代表して演説したチョーモートゥン国連大使の行動に多くのミャンマー国民が勇気づけられた。

国連総会非公式会合での演説の最後に三本指のサインを掲げたチョーモートゥン国連大使。(2021年2月26日、UN-WebTV)

三本指のサインは、軍への抗議を示すサインとして、また、抵抗運動への連帯を示すサインとして、ミャンマー全国で広く用いられている。当初、ハリウッド映画「ハンガー・ゲーム」のなかで使われたサインが、タイや香港の抵抗運動に取り入れられ、「ジェネレーションZ」と呼ばれる90年代半ば以降に生まれた世代を通して、クーデター後のミャンマーで広まったと言われてきた。

しかし、ミャンマーの知人らによると、実は、元々ボーイスカウトやガールスカウトで昔から使われてきたサインだという。

ミャンマースカウト連盟総長就任式に出席したアウンサンスーチー国家顧問。出迎えたスカウトたちが三本指で敬礼している。スーチー氏の右は、ヤンゴン管区首相ピョーミンテイン氏。(2019年7月、国家顧問府提供)

◆ミャンマーとスカウト運動の接点

1907年に英国から始まったスカウト運動は、20世紀最大の青少年運動といわれる。現在も世界170カ国、約4000万人の加盟員を擁する世界最大の青少年団体である。スカウトの世界共通のサインが、三本指だ。

三本指の意味(ミャンマースカウト連盟資料より引用)
◎「伸ばした三本の指は山全体を表し、端側の指は登る足取りを示し、常に向上しようとする意味が込められている」。
◎ 「三本の指は、性別・宗教・民族で隔てられることなく、平等であることを表している」。
◎ 「小指を押さえた親指は、弱い者を強い者が守るという意味であり、世界中のスカウトの団結も表している」。

また、三本指は、以下のスカウトの3つのちかいを表しているという。
(1)私は、自身の信仰する宗教と祖国のために最善を尽くします。
(2)私は、いつ何時であろうが、他人を助けます。
(3)スカウトの10のおきてを守ることに全力を傾けます。

英国植民地だったミャンマーのスカウトの歴史は早く、1916年にミャンマースカウト連盟が設立されている(日本は1922年)。軍政時代に活動を一時休止したが、2012年に復活。同年12月に創立100周年を祝った。

アウンサンスーチー国家顧問のミャンマースカウト連盟総長就任を伝える記事。(2019年7月21日・国営新聞)