ミャンマーで軍のクーデターに抗議する市民のデモ。プラカードには、CDMの文字。医療、教育、司法関連の職員とみられる。(2021年2月18日タニンダーイ管区ベイ市、ベイベイ撮影)

 

2月1日に全権を掌握した国軍への抗議活動が続くミャンマー。治安部隊による弾圧で逮捕者や死傷者が増え続け、職場放棄することで軍の統治を機能不全に追い込む市民不服従運動(CDM)に参加する公務員への圧力も強まっている。CDMに参加する現地公務員に電話で話を聞いた。(赤津陽治

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◆住み慣れた公務員宿舎を離れ、実家へ

「公務員の私は、国民の税金から給料をもらっています。国民の大多数が反対している軍の政権で働くわけにはいきません」

公務員で、ろう学校勤務のアウンさん(31歳)は2月8日から不服従運動に参加。2月中旬、公務員宿舎を離れ、地方の実家に戻った。家族と一緒に住み慣れた公務員宿舎を離れたとき、もう戻ることはないかもしれないと覚悟した。

国際協力機構(JICA)の技術協力による手話通訳者育成訓練の様子。アウンさんら約20名が訓練を受けた。訓練終了後、手話支援サービスを提供する人材として活動した。(2013年ミャンマー・ヤンゴン、赤津陽治撮影)

◆日本のJICAの訓練を受け 手話通訳者に だが不服従運動参加で失職する可能性も

2013年から約1年半、ヤンゴンで手話通訳者養成の訓練を受けたアウンさん。日本のJICA(国際協力機構)の技術協力による手話通訳者育成コースの第1期生だった。国立障害者リハビリテーションセンター学院出身の日本人専門家から直接指導を受けた。修了後は、ヤンゴンのろう学校で教員として、ろうの子どもたちの指導にあたってきた。

3月23日、所属する社会福祉局から事情聴取の呼び出しがあった。

「呼び出しに応じなかった場合は、停職処分になると上司から電話で伝えられていましたが、行きませんでした。公務員法に基づいて、直に免職されるはずです。職を失うのは惜しいです。新しい仕事を見つけるのも大変でしょう。しかし、軍のクーデターをどうしても認めることはできません」

アウンさんは1988年生まれ。88年に起きた民主化運動や軍のクーデターも本でしか知らない。しかし、親たちの世代が経験した国民の自由が制限されるかつての軍事政権の時代に戻ってしまうことに強い危機感を抱いている。

元々、祖父の代から軍人一家だった。父もかつて国軍兵士だったが、不当な命令に耐えられなくなり退役した人だった。今は職場を離れた自分を応援してくれているという。

今は実家で、フェイスブックなどのSNSを通して、国軍や抗議運動の動向を探る毎日だ。1週間ほど前から携帯電話のデータ通信が遮断された。最新の情報は、ヤンゴンの友人たちに電話を掛けて尋ねている。3月27日の国軍記念日を前に、治安部隊が各地区に昼夜常駐し、徹底的にデモを封じ込めようとしていると聞いた。