◆財政苦境で中国資本に頼らざるを得ない北朝鮮
北朝鮮としては、加工品を自力で生産するのがもっとも望ましいが、深刻な資金難と工場設備の不備、電力不足は続いており、独自に工場を建設し、加工に必要な原材料を調達するのは困難だ。中国企業の投資を受けて合弁という形で、加工輸出し外貨を稼ぎたいわけだ。
北朝鮮のこうした積極的な動きは、金正恩政権が近年最優先課題として掲げている「地方発展20×10政策」など、内需用の経済活性化策では外貨を稼げないとの判断があると分析できる。見栄えだけは良い工場を立てても、国家財政が逼迫した状況では、外部(中国)の資金注入が絶対的に必要なのだ。
一方の中国企業にとっては、北朝鮮の豊富な資源と安い人件費は魅力だ。そのため、制裁以降も中国が維持してきたのが、原材料を中国から送り、北朝鮮で加工、組み立てをした後、中国に輸出する「委託加工」という方式だ。北朝鮮の立場からすれば、大きな投資費用をかけずに外貨を稼げる確実な方法である。
◆北朝鮮は信用できるのかという大問題
しかし、北朝鮮との取引にはリスクがある。北朝鮮側による約束の不履行、さらに政策の不安定性、何事にも政治判断が優先されるという弊害に、これまで多くの中国企業が苦しんできた。詐欺に遭ったり資産を没収されたりして撤退したケースも少なくない。
このため、「北朝鮮と商売をしても損するだけだ」という認識が、中国企業の間で定着してしまった。北朝鮮はこうした不信感を意識したのだろう。外国人投資家を保護するための法的措置が整ったと中国企業に積極的に広報しているそうだ。
「制度的な保護装置があるという北朝鮮側の説明があり、新たに加工貿易で利益を得ようという企業家が参入を狙っている状況だ」と、貿易関係者は説明する。
透明性を欠く北朝鮮体制の特性上、約束した中国人投資家に対する恩恵や法的保護が、維持、履行されるかは未知数だ。だが、制裁を迂回して豊富な資源と安価な人件費を活用できる好機と考えた中国企業が今、いち早く北朝鮮詣でに乗り出したというわけである。
当分の間、「訪朝ラッシュ」は続くと見込まれる。

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