(参考写真)脱北家族から送金を受ける行為が明らかになると僻地や炭鉱に追放になという。写真は2025年9月に撮影した建設現場で作業中の男性。顔は粉塵まみれである。両江道恵山市を中国側から撮影(アジアプレス)

◆韓国の娘2人からの送金発覚し炭鉱に追放

北朝鮮の金正恩政権が、韓国に脱北した家族がいる人に対する締め付けを強めており、韓国の家族との接触が発覚した場合は、僻地や炭鉱に追放するなど厳しい処置を取っていることが分かった。特に韓国から送金を受けることは「社会主義精神を蝕む行為とみなす」として、一般住民に密告を奨励しており、疑いがあるとされた人が通報される事例が増えているという。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の取材協力者が4月下旬に伝えてきた。(洪麻里/カン・ジウォン

◆韓国の娘2人からの送金発覚し炭鉱に追放

2023年末、金正恩氏は「大韓民国は敵であり、同じ民族でも統一の対象でもない」と電撃的に宣言したが、以降、韓国との情報、モノ、カネの流出入に対して、以前にもまして徹底的な遮断策が進められてきた。また、今年3月の最高人民会議(国会に相当)では、憲法から「南北統一」の概念そのものが削除されたが、その頃から「南と通じた者」への処罰が厳格化されたようだ。

咸鏡北道のある郡の農場員である取材協力者は、周囲で見聞きした事例について次のように報告する。

「脱北して韓国にいる2人の娘が送ってきた金で、車もオートバイも買った上に、食糧商売まで手掛けて羽振りのよかった一家が炭鉱に追放されたと聞いた。
その母親は薬や燃料の商売をしながら、建設事業にまで金を出し高利貸しもして金稼ぎをしていたが、『非社会主義的行為だ』と申告され、調査を受けて見せしめとして追放になったそうだ。私のいる農場にも5月に追放者が来るらしい」

3月の最高人民会議で施政演説を行う金正恩氏。2026年3月24日付朝鮮中央通信より引用

◆送金で富裕生活が一変、追放者へ転落

脱北して韓国に入国する人数は、2006年から2011年までがピークで、毎年2000人を超えていた。韓国定着後、中国―北朝鮮を結ぶ不法な「地下銀行」を通じて、北朝鮮に残る家族に送金する人も急増した。北朝鮮では想像もできない額の外貨を受け取って、過去とは見違えるような暮らしをする人が現れ、一般住民からは羨望の的になっていた。

ところが状況は一転してしまった。脱北した家族がいる人たちは厳しい監視対象となり、韓国から送金を受けたことが発覚すると、公開の場で厳しい批判にさらされた上、僻地や炭鉱に追放されるようになったという。

★新着記事