◆玉本英子現地報告 相次ぐ兵士の離脱 イラクのクルド自治区へ
シリアでの戦闘などから逃れてきた避難民5000人が暮らすイラクのドミズ難民キャンプは、道をはさんで二つに分かれている。家族の住むテントと単身の男性たちが暮らすテントだ。男性の中には政府軍の兵役から逃れてきた離脱兵たちもいた。

シリア政府軍兵士のIDカードを見せる離脱兵。「賄賂を払って逃げることのできない貧しい兵士たちが戦闘を続けさせられている」と訴えた。(6月25日撮影:玉本英子/アジアプレス)

 

政府軍第87旅団の兵士だったアリ(27)は昨年夏、ハマでのデモ鎮圧部隊に投入され、デモ隊を撃たなければ殺すと上官に言われた。賄賂を払って内勤に配置されたが、手持ちの金は底をつき、休暇中に逃げてきたという。「1200人いた旅団の兵士のうち200人はすでに逃げた。賄賂を払えない貧しい兵士が戦闘を続けさせられている」と訴える。

第100旅団で狙撃兵としてダマスカスに投入されたマハムード(21)は「政府軍に殺された家族を持つ若者は、憎しみから次々に自由シリア軍に参加している。シリア人同士が殺しあうなんて、なぜこんなことになったのか」と嘆いた。
6月21日、英国の人権団体「シリア人権監視団」は昨年3月以来の戦闘などでの死者は1万5000人以上と発表した。しかし離脱兵たちは「少なすぎる。10万人は殺されているのではないか」と口々に話した。

難民のほとんどはシリアのクルド民族。衛星テレビでイラクのクルド自治区の安定を知り、目指した者が多かった。(6月25日撮影:玉本英子/アジアプレス)

 

玉本英子【イラク北西部 ドミズ難民キャンプ】