◇取り出し作業の概要

R:取り出す燃料棒は1533本ということですが、燃料棒1本はどれぐらいの大きさのものなのですか。

小出:それは燃料棒ではなくて、燃料集合体と呼んでいるもので、燃料集合体が1533本あるということです。燃料集合体というものは、燃料棒が8行8列に組み合わされたものです。一本一本の燃料棒は直径が1センチ、長さが4メートルという、細長い物干し竿のようなものです。

R:それら燃料棒をプールから取り出して、50メートル離れた共用プールに移すという作業になるわけですね。

小出:使用済みの燃料というのはプールの底から空気中に吊り上げてしまいますと、周辺の人がバタバタと死んでしまうというほどの放射性物質の塊なのです。ですから、簡単にはプールから出せないのです。出すためには、キャスクと呼ぶ巨大な鋼鉄と鉛の容器をプールの底に沈めまして、そのキャスクの中に使用済み燃料集合体を1体、2体、3体と入れていきます。約20体ほど入るのですが、その段階でキャスクの蓋をしてキャスクごとプールの水面から引き上げるということをしなくてはいけないのです。

R:これはクレーンで引き上げるのですか?

小出:そうです。キャスク自体が100トンもある重さのものですので、巨大なクレーンがないと吊り上げることができません。既に4号機の建屋は爆発で吹き飛んでしまいまして、クレーンも何もかもみんな壊れてしまって使えなかったのです。ですから、東京電力は今日までかけて、まず4号機の壊れてしまった建屋を撤去しまして、その部分に新しい巨大な建屋を立てました。そこに巨大なクレーンを設置して、ようやく11月から作業に取り掛かれるところまでやっと辿り着いたのです。

R:キャスクという大きな容器をプールの中に沈めて、燃料棒を収納していくということですが、実際にはどうやってやるのですか。

小出:燃料交換機という機械がありまして、それで実行します。元々あった燃料交換機は既に爆発で壊れてしまいましたが、新しい燃料交換機をまた新たにそこに設置したので、それを使ってやることになります。
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