電気が来る短時間に屋上の水タンクに水を汲み上げなければならない(2017年7月、ガザ地区ハンユニス市で撮影 土井敏邦)

 

◆電気のない日常生活

1日2~4時間しか電気がない家庭生活とは一体どういうものか。人びとはどのように暮らしているのか。ガザ地区中部の街ハンユニス氏の知人の家庭の2日間滞在してみた。

1日4時間ほどの電気が回復すると真っ先に、10人家族のこの家の主人ハリーム(54)がやるべきことは、屋上に置いた水タンクに電気モーターで十分に水が汲みあげられているかどうかを確認することだ。かつて2個しかなかった水タンクを5個に増やした。長い停電で水が十分汲み上げられていないと、シャワーや炊事、トイレの水にも事欠くことになるからだ。

子どもたちはすぐに充電式電灯の充電を開始する。停電した夜の暗闇の中、子どもたちの勉強や、台所での仕事、夕食時には不可欠な灯りとなる。耐えがたいのが暑さだ。海に近いため湿度も高い。でも扇風機も使えない。室内ではなかなか寝付かれず、屋上や窓の多い部屋で寝るしかない。

「電気不足はガザではずいぶん以前からの問題でしたが、この2ヵ月ほどは特に住民は苦しんでいます」と主婦のファトマ(53)は言う。

「冷蔵庫に保存していた食料が、この暑さの中の停電で全部腐ってしまうんです。水不足で台所での皿洗いもままなりません。子どもたちも電気の灯りがないため、充電電灯やろうそくの下で勉強しなければなりません。また水不足でこの夏の暑さの中でもシャワーも十分浴びることもできないし、洗濯も思うようにできない。電気がないのはいくらでも辛抱できますが、水がなくて生活するのは不可能です」

「どうして発電機を使わないのか」と尋ねると、ファトマは「発電機を買う金もない家庭は多いんです。うちは買ったのですが、音がうるさくて、隣近所に迷惑をかけてしまい、使うのを止めました」と答えた。

次のページ:電力不足でほとんど機能不全に...