◆自然由来の石綿飛散か

前出・破砕施設における飛散で検出されたのは、2018年4月および同11月のいずれの測定でも比較的使用が珍しいトレモライト/アクチノライトである。

一方、建材に多く使われたクリソタイルやアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)が検出されていない。管理の悪い破砕施設であれば、まず検出するのは建材に多く使われ、飛散しやすいアモサイトやクロシドライトであろう。ところが、昨年発表の2017年度報告でも同じ状況で、トレモライト/アクチノライトしか検出していない。

同省大気環境課によれば、「(検出の)原因がはっきりわからないため、継続測定となった」という。

現場は熊本市北区。調査結果について報告した同検討会でも議論になっている。となりの宇城市松橋町にはかつてアンソフィライトの鉱山があったことから、自然由来のアスベストである可能性もありそうだ。

こちらも最大で5.3本のトレモライト/アクチノライトとはいえ、測定のたびに検出されている状況だ。周辺環境も考慮する必要があるが、飛散防止が必要であろう。

同省の発表資料には調査の結果みえてきた法的課題についていっさい記載がない。しかも上記いずれの事例における、法の不備についても本来なら今回の法改正で補う必要があるが、議論の俎上にも上っていない。同省は改修・解体工事以外からアスベストが飛散している場合への対応をきちんと規制に加えて取り組むべきだ。また自然由来のアスベストの管理方法についてもそろそろ本格的に検討し、基準などを設けて対応方法も定める必要があるのではないだろうか。

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