厚生労働省が2017年10月、建物の改修・解体におけるアスベストの事前調査義務を石綿障害予防規則に規定して12年後に初めて開催された事前調査についての講習会のようす(井部正之撮影)

 

建物などのアスベスト調査について新たな講習制度を創設するという。その裏側には何があるのか(井部正之/アジアプレス)

◆石綿「素人調査OK」の異常

「石綿含有建材の総合的な知識を有する専門家の育成を推進します」

10月23日午後、厚生労働省と国土交通省、環境省はこんな文言とともに、建物の改修・解体時にアスベスト建材を調査する「専門家」を育成する講習制度を3省で連携して創設すると一斉に発表した。

わが国では2005年7月の労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)施行以降、建物などの改修・解体前にアスベストを含む建材がないか調査する義務が設けられている。ところが、アスベスト調査を行う者の資格規定や講習受講義務は法的位置づけがない。その結果、建物のアスベスト調査はどんな素人が調べてもよいという異常な状況がすでに13年にわたって続いている。

素人調査が法的に許されている以上、アスベストの見逃しが日常的に起きる。これがずさんな建物解体が続く原因の1つである。

その改善を目的として、3省が発表したのが今回の講習制度である。

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