◆ISの同性愛者摘発

ラッカでは同性愛者が数人処刑されている。私はそのうちのある一家を探し当てた。だが取材は固く断られた。

「息子のことは誰にも知られたくない。この社会では恥ずかしいことなのです」。

母親はただそう言うばかりだった。

激しい戦闘で瓦礫になったラッカを歩くアハメット・アルフセインさん。友人が同性愛者としてISに処刑された。(ラッカ・2019年10月:坂本卓撮影)

アハメット・アルフセインさん(26)は、友人(17)が同性愛者としてISに捕まり、処刑された。友人は薄茶色の瞳が美しい、物腰の柔らかい青年として、以前から近所で知られていた。

ISは地区に情報網を張り巡らせ、「同性愛者っぽい」と噂のある者を逮捕した。また近隣でトラブル関係にある住民が「あの家の息子は怪しい」と虚偽の密告をする例もあったという。

「ISが宗教の名で処刑を正当化し、見せしめで恐怖支配を広げた」と、アハメットさんは話す。

IS支配地域であいついだ同性愛者処刑。これはイラク・モスルで、ISが「判決文」を読み上げ、男性がビルから突き落とされる。(2015年・イラク・IS写真)