「おい、このおばはん、なんでそんなこと言うんだ?」
「いらいらして変な言い方するんじゃないよ」
自分に視線が集中してしまったもんだから、おばさん一瞬あせってしまったけれど、すぐに話をそらしたんだ。

「いや、どのみちこっちが勝つ戦争なんだから!」
その一言で場は収まって、おばさんはこう言われたんだと。
「おばちゃん!うまく頭を使ったな」
一同:ハハハ。

スンホ:この話をしてくれたのは住民登録課長なんだよ。
カンチョル:ふーん、安全部(保安署=警察の以前の名称)の住民登録課長がね。その課長も気持ちは同じなのかな?
スンホ:それはわからないなあ。その課長は別の話もしてくれた。
ある年老いた爺さんが、配給を受け取ろうと列に並んでたんだが、ちょうど自分の前で米がなくなってしまったんだと。

配給所の責任者は冷たくこう言った。
「米はなくなりましたから、次の日にまた来てください」
それで爺さんはこう言った。
「次の日に配給あるのか?次の日にどうやって配給出せる?牛車もないのにどうや配給所に米を運んで来るというんだ」
こう言って配給所から出て行こうとしたけれど、爺さん、むしゃくしゃするもんで、つい口を滑らせてしまった。

「戦争でも起こりやがれ!」
それで配給所の門をくぐったところ、人が自分を見ているような気がするから振り返ってみると、皆がじろりと見ていたんだ。それで、あわててぶつぶつ言い続けたそうだ。
「どのみち我々が勝つんだからな」
それで、ようやくそこにいた人たちも、向こうを向いたそうだ。
戦争しろなんて言うておいて、どちらが勝つかまで言わないと、それは完全に反動だろう?ハハハ。

カンチョル:舌がツルツルよく回転するから、首が繋がっているんだぜ。
「どのみち我々が勝つんだろう」なんてうまく言うもんだ。ははは。
実は皆が思ってることは同じなんだけどな。
(資料提供:2006年10月シン・ドソク 整理:リュウ・ギョンウォン)

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