骨董商:なるほどそうか。今や核兵器を手に入れたんだから、南朝鮮を占領して統一もできるだろうね。
書記長:さあ......。
指導員:口ばっかりの戦争準備が始まってどのくらい経つ? 南朝鮮併合路線が出たのは六六年の一〇月だ。抗日パルチザンの連中が、第二経済の軍需産業のすべてを握った時だ(注1)。その頃から人民の生活は干上がり始めたんだ。
今は(通常兵器の)攻撃能力はついた。だから、次は核なんだ。

書記長:その通り。だから我が国は、今回、人間には影響のない核実験をしたのだ。将軍様は完全に成功した。
魚一匹、人間一人死なない「強力な」爆発実験を行ったわけだ。こんな実験は、世界のどの国も絶対に行うことができないだろう。将軍様の天才的芸術的な領導のおかげだ。

骨董商:ところで、核実験をちゃんとやるには、本来防護服を着ると言うが、今回の実験は、そんなもの一つもなしでやり遂げたんだとさ。放射性物質それ自体がなかったということだ。

リ:そんな武器をどこで使うんだろう? それはどんな武器だ?
骨董商:祖国統一に使うんだよ。これからは、古い在来式の兵器は開発しないだろう。核兵器開発によって祖国統一の日が近づくというわけだ。
「偉大なる首領様が生きていらっしゃれば、今回の核実験を見て、どれほどお喜びになるだろう」と将軍様は言って、これでゆっくり眠れる、と喜んだんだとさ。

リ:そんな武器で、南朝鮮をどうやって占領し、米を手に入れるというんだ?
骨董商:講習では「米国と外国では、朝鮮はこれから経済回復にむかうだろうと言われている」と言っていた。言うなれば、講習で教えようとしているのは、核兵器を手にしたから統一は進む、統一したら経済が復活するということだろう。その力を米国も認めたということに違いない。
ひとりよがりな感もあるが、核だの統一だの、聞き心地だけはなかなか良いもんだ。
(整理 チェ・ジニ)

注1 北朝鮮では軍事、軍需部門への指導権は抗日パルチザンとその子女たちがすべて掌握し、その秘密を鉄のように守りながら運営している。
第二経済とは、国家財政とは別の、軍部が直接統括する財政。
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