クァク:区域ごとに、そんなに大きくて上手く行っている企業があるようなものですよ。それを国家予算に組み入れるとしたら、今の国家のぼろぼろの財政状況からしたら、大変なことだろうに。
チョン:それなのに、なんで市場を統制するんだ? 了見が狭いよな。

シム:それにです。今、工場や企業所では原料も資材も持ってないでしょう。それもジャンマダンがあってこそ解決するんではありませんか?
チョン:原資材までは無理でも……いや、原資材もジャンマダンで買ってきて回っている所もあるだろうね。

シム:例えば食堂を営業するとしましょう。国営の食堂でも値段は、今やジャンマダンの値段でしょう? 食堂はどこもジャンマダンで肉も米も買って運営してるじゃないですか。
区域には商店、旅館など、色々なサービス業の施設があるけれど、それらは、皆ジャンマダンがあるから運営できてるんじゃないですか?
チョン:そうだとも! だから、ジャンマダンを全面許可すればいいのに。ジャンマダンをしょっちゅう叩くから、国営の企業所で営業する人々も不便だし、また豚をつぶして売ってるような個人の商売にも不便だ。なんでそんなことするのか、まったく。

クァク:反対に、工場でとにかく苦労して製品を生産したけれど、どうしても現金が必要だという時、ジャンマダンに持ち込んで売って収入を得て、生産を継続するということもあるんですよ。
チョン:まったく。あれこれ皆不便になるばかりなのに、わざと運営がうまくいかないようにしてるようなもんだ。
まあ、一〇月、一一月とこんな調子だけれど、皆口々に「また元に戻るはずだ」「また商売できるようになるさ」と言ってる。そう、せいぜい一か月もすれば、またジャンマダンは元に戻るとおもうよ。
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