揺れるカシミール 廣瀬和司の緊急現場報告/2008/08/16

080901_APN_hirose_kashimir0.gif予想通り、今日も朝から外出禁止令が出ている。最初は10時ごろに緩和されて、1、2時間の外出が許されるのでは、と噂していたが、なかった。

宿の主人が「90年代には17日間連続外出禁止令というのがあった。あのときはまだこの近辺にCRPFの駐屯地はなくて、買い物に抜け出せたけどな・・・」と言う。
宿に茶飲み話をしに来るカシミール人たちは口々に「90年代の武装闘争最盛期に戻ったみたいだ」という。であるならば、彼らには悪いが、私はジャーナリストとして得がたい経験をしていることになる。

外出禁止令は、裏を返せば自宅拘禁だ。そのおかげが、外から聞こえるのは鳥の声だけだ。空は青く純白の雲が彩り、鳩や鷹、そしてカワセミなど各種の水鳥が自由に飛びまわっている。平和でなんともいえない光景だ。みなそれを見て自分にも羽根があれば、と思っているだろう。それでも撃たれてしまうのだろうけど。

夕方のニュースで、病気の子供が病院に行けなかったり、薬が購入ができなく症状を悪化させたり、水がでないのに水道局員が来れないなどの苦情が殺到しているという。これを受けてスリナガル市当局は外出禁止令の緩和を検討しているという。突然の外出禁止令で、各家の食糧の買い置きも尽きてきている。

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